アンナ・ポリトコフスカヤ暗殺の責任者

 アンナ・ポリトコフスカヤは誰に殺されたのか。これはリトビネンコ問題にも通じることなのだけれど、私には何の捜査権もないので、事実にたどり着くのはとても困難だろう。とはいえ、ロシア政府にとって、二人の存在が邪魔だったのはまちがいない。特に、西側でロシアの国際評判を落とす問題−チェチェンを取り扱い、一次情報源となっていたのだから。リトビネンコにいたっては、99年のモスクワアパート爆破事件もロシア政府の陰謀だとして、本まで出版していた。マフィア説とか、ベレゾフスキー説をいう人もいるが、根拠にとぼしい。
 どの可能性も排除しないとしても、もっとも大きな蓋然性があるのは、ロシア政府犯行説だ。しかし、殺害計画が存在しないなら、それを存在しないと証明するのは不可能だろう。だから、ロシア政府は世界中からの疑いに正当に答えるためには、「やってない」と声明を繰り返す必要はぜんぜんない。

 どうすればいいかというと、自分がぬれぎぬを着せられているなら、真犯人を発見すればいいのだ。ロシアには警察があり、捜査権があるのだから。

 ノーヴァヤ・ガゼータ紙が、独自に犯人探しをしているという報道があって、とても興味深いけれども、論理的には、そうしなければならない理由はない。情報は集められるにしても、民間人が警察の真似事をするのは危険だし、そもそも国がすることだ。

 ロシアがそれをできていないなら、殺害をした責任をかぶらなければならないか、あるいは、殺害を許す環境を国が作っていることになる。典型的な不作為だ。

 と、いうことを頭に入れて、次の記事を読み返すと納得度が増してくると思います。少し前に書いたものなのですが、これによると、ロシア政府はポリトコフスカヤ事件のもみ消しに躍起になっているので、やっぱり犯人なのでしょう。(大富)

  繰り返される嘘―ポリトコフスカヤ殺害犯逮捕を読む
  http://chechennews.org/chn/0721.htm