チェチェン人犯罪グループリーダー、誘拐される

4月15日のモスクワタイムスによると、この1月、モフラディ・アトラゲリエフ(54)というチェチェン人の犯罪グループのリーダーが、モスクワ中心部のレストランで誘拐された。アトラゲリエフは「ラザンスカヤ」と呼ばれるグループのリーダーで、アンナ・ポリトコフスカヤや、「フォーブス」誌ロシア語版のパウル・フレブニコフ記者の暗殺に関わっていたとも言われる。モスクワのプレスネンスキー地区検察委員会は、この件についての捜査を開始しているが、まだ何も進捗がない。
コメルサント紙によれば、犯人側からの要求は何も伝えられていないという。アトランゲリエフは、「ロード」とか「レーニン」「例のイタリア人」などと呼ばれる人物で、80、90年代から地下世界の有名人だった。もう一人のチェチェン人犯罪組織のリーダーであるホジ・アフメド・ヌハーエフとともに、モスクワにいるいくつかのチェチェン人グループをまとめようとしていた。

ここ数年で彼の名は再び浮上し、最近ではヌハーエフ同様、フレブニコフやポリトコフスカヤの暗殺容疑者としてメディアに取り上げられることが増えた。イズベスチヤ紙の4/3号で、捜査当局のドミトリー・ドブグ上級捜査員は、「ボリス・ベレゾフスキ―とヌハーエフがポリトコフスカヤの暗殺を命令した」と非難した。

フレブニコフが2000年に行なったインタビューで、ヌハーエフは「アトラゲリエフと一緒に、1990年代に、ベレゾフスキ―が経営していたロゴバス(自動車販売会社)の用心棒をしていた」と語った。

その一方、ノーヴァヤ・ガゼータのセルゲイ・ソコロフ編集長は、「2000年代の初め、アトランゲリエフは、チェチェン独立派と対立するロシア当局とも組んでいた」と語っている。

ある事情通は、ロスバルトニュースに対して、アトランゲリエフは現在チェチェンで拘束されていて、あと数ヶ月は解放されないとの見通しを語った。

原文: http://www.moscowtimes.ru/article/600/42/362016.htm

 とってもわかりにくいニュースなのですが、チェチェンのマフィアのボスが誘拐された事情が、まずわからない。とはいえ、ロシア当局が、ポリトコフスカヤとフレブニコフの暗殺をチェチェン人の仕業にしたがっているということだけはわかります。でも、本来は、次の記事の疑問の方を先に片付けて欲しいところです。
 当のロシア当局の発表では、「逮捕した犯人グループを主導していたのは、チェチェン出身者からなるモスクワの組織犯罪集団の指導者で、犯人の中は、内務省と連邦保安局(FSB)の現役と退役の要員が含まれていた」わけで、政府機関の関与については、捜査はなにもしていないんじゃないでしょうか。今後も要、注目です。(大富亮)

繰り返される嘘―ポリトコフスカヤ殺害犯逮捕を読む
http://chechennews.org/chn/0721.htm