チェチェンニュース Vol.08 No.04 2008.06.14

http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080614/1213436137 (HTML版) 発行部数:1688部
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 チェチェン関係のいろいろなニュースをまとめてお送りします。

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INDEX

*マリア・キルバッソワさん、フィンランドで強制送還の危機に
*スウェーデン司法、独立派の引渡しを拒否
*チェチェンで数箇所の遺体遺棄現場発見される
*グローズヌイのカフェで自家製爆弾、8人が負傷
*6月下旬、難民映画祭にて「アンナへの手紙」
*リトビネンコ事件で英露の対立続く。FSB幹部が英当局の謝罪要求
*アムネスティ年次報告書、中・露・米が焦点
*ヨーロッパ人権裁判所はチェチェン人の最後の希望−NGO声明
*移転の危機に瀕している強制移住記念碑
*アブハジア紛争問題、ソチオリンピックに影響か?EUの外交活動活発化
*イベント情報

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■マリア・キルバッソワさん、フィンランドで強制送還の危機に

 96年にチェチェン戦争の平和的解決を訴えて来日した、ロシア兵士の母親委員会代表(当時)のマリア・キルバッソワさんが、娘さんを頼ってフィンランドに渡ったものの、当局から退去を通告されていたことがわかった。

 2007年10月、フィンランド国籍を持つ娘のソイツさんを頼って、キルバッソワさんはロシアからフィンランド渡航した。この時点で何らかの病気をわずらっている。
 フィンランド当局に居住許可を求めたものの却下され、ついに強制送還の処分が決まった。そこでフィンランドの裁判所に処分の取り消しを求めて訴訟を起こしたのだったが、6月10日に出た結論は強制送還の1週間猶予というものだった。

 この動きに対して、隣国エストニアでは与党国会議員がフィンランドの措置に激怒。「ポリトコフスカヤにあんなことをした国に送還するなどもってのほか」としたうえ、フィンランドからの退去が実際に起これば、エストニア難民認定させると息巻いている。

つづきを読む: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080613

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スウェーデン司法、独立派の引渡しを拒否

 困っている人を引き渡すかどうかという問題について、こんどはスウェーデンからの短いニュース。スウェーデンに滞在している独立派のある男性のロシアへの引渡しは、正式に却下になったそうです。

つづきを読む: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080612/1213236879

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チェチェンで数箇所の遺体遺棄現場発見される

 6月初旬、チェチェンのグデルメスとヴェデノ地区で、数箇所の遺体遺棄現場が見付かっている。チェチェンの当局筋(親ロシア派)は、発見された遺体は、すべてヤマダエフ指揮下の「ヴォストーク部隊」による略式処刑の被害者だと断言している。

 グデルメスで発見された現場には、6人の遺体が遺棄されていた。遺体の身元はまだ判明していない。また、同じグデルメスでは、クチャロイ地区の住民アフメド・ジャマロフの遺体が発見された。人権団体モスクワ・ヘルシンキグループの専門家によると、ジャマーロフ氏は数年前に誘拐されていたという。

つづきを読む: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080612/1213290184

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■グローズヌイのカフェで自家製爆弾、8人が負傷

 6月9日、チェチェンの首都グローズヌイのカフェで、連続して二度の爆発があった。複数の当局者の見解は、自家製爆弾と単なるガス爆発に分かれている。警察特殊部隊の5人の警察官と、3人の市民(うち女性2名)が負傷した。女性は軽傷で、現在治療中だという。

 その他の武装衝突のニュース。6月9日の朝、ロシア軍の部隊を輸送中の列車が、チェチェンの東に接するダゲスタン共和国のハサブユルトで何者かに銃撃され、兵士1名が死亡した。他にも、8日にはイングーシ共和国のナズラニ近郊で兵士1人が銃撃され、死亡している。

http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080610/1213109685

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■6月下旬、難民映画祭にて『アンナへの手紙』上映!

 東京で開かれる難民映画祭で、『アンナへの手紙』という映画が上映されるという情報がありました。ぜひご覧下さい。

 2006年10月7日、プーチン大統領54歳の誕生日、ロシア政権を最も厳しく批評していたジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤはモスクワの実家で暗殺される。弱者擁護の彼女はなぜ無念の最期を迎える事に?何千人もの流出を生み出しているチェチェンでの軍事政策を公然と非難したからだろうか?そしてその犯人は処罰を受けるのだろうか?

日時: 6/26 (木) 17:30 ドイツ文化センター
難民映画祭公式サイト: http://www.refugeefilm.org/film/2008/337.html
原題: Letter To Anna 監督:エリック・バークラウト スイス(2008)
音声:英語・ロシア語 字幕:日本語 83分
ジャンル:ドキュメンタリー p.s. 72 productions

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■リトビネンコ事件で英露の対立続く。FSB幹部が英当局の謝罪要求

 リトビネンコ暗殺事件で英露治安機関の対立が依然、厳しい。ロシア治安機関の要『FSB(連邦保安局)』高官はこのほど事件解決を前進させるには英側がまず謝罪するのが筋と改めて厳しい対決姿勢を強調した。[aviationnews 5/28]

つづきを読む: http://www.aviationnews.jp/2008/05/fsb_d31d.html

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アムネスティ年次報告書、中・露・米が焦点

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは5月28日、398ページの年次報告書を発表した。...強権姿勢を強めるロシアについて、アムネスティは反体制派へのより寛容な対応を求めている。ロシア当局は批判勢力を「非愛国的」と決め付けて厳しく取り締まり、昨年12月の下院選挙前を中心に、人権や政治活動の権利を弾圧した。欧州人権裁判所は、ロシア当局がチェチェン紛争絡みの誘拐事件や拷問、裁判なしの死刑執行に関与しているとの判断を示した。

CNN記事: http://www.cnn.co.jp/world/CNN200805280022.html
アムネスティ: http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=482

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■ヨーロッパ人権裁判所はチェチェン人の最後の希望−NGO声明

 欧州人権裁判所はこれまで31件にのぼるチェチェン問題に関するロシアの責任を認めた判決を出しているが、ヒューマンライツ・ウォッチなどが、判決をもっと活用するように提言する声明を出した。これによると、ヨーロッパ人権裁判所での判決は、個々のケースでの補償をすればよいのではなく、同様の人権侵害が発生しないように、ロシア国内での努力がされなければならないという考え方に基づいて出されている。
 そこでHRWなどの人権団体は、次期EU議長国のフランスに対して、今までの判決を<活用>すべきだと提言した。

 「継続的な政治的圧力がないために、ロシアはチェチェンでの虐待をやめようとしないだけでなく、これらの犯罪の責任者たちを裁こうとしていない」と、HRWパリ支部長のファーデアウは語った。「ECHRの判決の履行とは、個々の原告に正義を配達することではなく、虐待した人間への不処罰を終わらせることだ。グローズヌイの復興によって、EUがミスリードされることはあってはならない。虐待は続いているし、数千人の強制失踪者は今も見付かっていない」

つづきを読む: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080611/1213164486

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■移転の危機に瀕している強制移住記念碑

 「彼らはすこしづつあの碑を刻んでいったのです。今、碑はあそこにあるのだから、動かさないのが一番です。記念碑というものは誰か個人に属するものではありません。歴史も、書き換えるべきものではないですから」と、グロズヌイのインテリは言うが、チェチェン民族の強制移住記念碑の移転工事が進んでいる。

 移転先はなんとロシア軍基地の内部。「ハンカラとは最高にいい場所だって、みんな言ってます」と、人権団体のスタッフが言う。

 人々の容易に立ち入ることができない軍の基地の中に記念碑が移動されることは、歴史の隠蔽というものではないだろうか。それ以上に、チェチェン人に対するジェノサイドの記念碑が、現在もチェチェン人に拷問を加える施設を擁する軍の基地に移動されることの皮肉。

つづきを読む: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080609/1213031800

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アブハジア紛争問題、ソチオリンピックに影響か?EUの外交活動活発化

 ロシアに対するEUの圧力が強まる中、EU弁務官は、最近のグルジア内部の独立志向地域であるアブハジアでのロシア政府の行動が、2014年のソチオリンピックを脅かすものになるとの見方を明らかにした。

 EU のベニータ・フェレロ・ワルドナー対外弁務官は、ロシア下院議員団に対し、「EUは、最近のグルジアにおけるロシア政府の動き、特にロシアの南部国境の安定に影響を与えかねない動きを憂慮し、ソチオリンピックの取り組みの見直しを視野に入れている」と語り、「この地域の不安定化は、すべての勢力にとって不利益だ」とした。

 グルジア偵察機が撃墜されるなど、最近の一連の事件によって、戦争の危機が高まっていると警告している。国連の調査では、このグルジア機の撃墜は、ロシア軍戦闘機によるものという結果が出ている。

つづきを読む: http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080609/1213036024

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■イベント情報

6/26 港:映画『アンナへの手紙』 http://www.refugeefilm.org/film/2008/337.html

アンナ・ポリトコフスカヤの死は、チェチェンでの軍事政策を公然と非難したからだろうか?そしてその犯人は処罰を受けるのだろうか?難民映画祭で1回限り上映。

6/15 港:アイヌ、ジュマ、ビルマ先住民族・マイノリティとともに〜首都圏のアイヌ、滞日外国人の中の先住民族との出会い2008〜 http://alertwire.jp/read.cgi?id=200805121605241

日本だけでなく、さまざまな国からやってきた先住民族の声に耳を傾けよう

6/18 杉並:三一書房 Presents「見えないアジアを語る〜国境とタブーを越える冒険者たち〜」 http://www.loft-prj.co.jp/lofta/schedule/lofta.cgi?year=2008&month=6

カレン、ナガランド、チェチェンイラクなど、外務省退避勧告の危険地域を繰り返し歩いてきた冒険家たちがライブで語る

6/21 新宿:守られない五輪の約束 弾圧される中国人ジャーナリストたち 〜獄中作家委員会・張裕さんを招いて〜 http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080611/1213139221

五輪を前に、インターネット検閲とメディアの自由について語る!

6/21 文京:連続セミナー〈ナクバ60年を問う〉【第1回】パレスチナ民族浄化国際法 http://midan.exblog.jp/8957614/

ナクバ(大災厄)から60年。パレスチナをめぐる活動と研究の蓄積と共有をめざして

6/28 千代田:「終焉に向かう原子力」(第6回)反原発・反再処理工場 6.28講演と映画と音楽の集い http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080520/1211292036

ドイツ映画『みえない雲』の上映や、ウクライナの歌手カテリーナさんの演奏。 京都大学原子炉実験所の小出裕章氏による講演「みえない雲の向こうに視るべきもの」も!

6/28 世田谷:ユーラシア研究所 講演会「今日のカザフスタンの政治経済」 http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080607/1212814982

カザフスタンより来日したタチベコフ教授から。だれでも参加できるオープンな会。

6/29 国分寺:月桃の花歌舞団公演『ワーキングプア希望宣言!』 http://gkabudan.ivt.org/

「陸軍一等兵、新城清、ルソン島バギオより帰還いたしました!」 派遣、リストラ組のネカフェ難民外国人労働者が巻き込まる奇想天外の物語。

6/30,7/1 千代田:G8対抗国際フォーラム http://www.counterg8forum.org/

北海道・洞爺湖でのG8サミットに対抗して、国際連帯、戦術の多様性、地下大学をめぐって世界の知識人が議論する

7/5,6 東京,大阪:2008年世界難民の日・全国リレー http://rafiq.jp/wrd/index2.html

知っていますか、日本にも難民がいることを。 在日難民の方にお話を伺います。パフォーマンス、写真・絵画展なども開催。

7/12 水戸:ドキュメンタリー『チベットチベット』水戸上映会+トークショー

http://www.net1.jway.ne.jp/abeusr1/
チベットの素顔を知っていますか。金昇龍監督+ドルマさん(在日チベット人)のトークショーも。

■映画/写真展など

『暗殺リトビネンコ事件』 http://litvinenko-case.com/theater.html

リトビネンコはなぜ殺されなければならなかったのか?アンドレイ・ネクラーソフ監督による迫真のドキュメンタリ。

6/9-7/12 下高井戸:白夜映画祭II http://www.ne.jp/asahi/kmr/ski/shimotakaido_cinema/byakuya.html

6/30-7/19 東京,尼崎,名古屋:燐光群公演『ローゼ・ベルント』 http://www.alles.or.jp/%7Erinkogun/rose.html

何を望んで生きるのか。生きるからこそ望むのか。自立の時代の手前で、一人の女性に重ねられた災厄。「ドイツ自然主義悲劇」ハウプトマンの代表作、一世紀の歳月を経て、日本初演

おいしいコーヒーの真実http://www.uplink.co.jp/oishiicoffee/

世界第三位のコーヒー消費国日本。あなたがスターバックスで支払ったコーヒー代はどこに行く?コーヒー好きの誰もが見るべき映画です

『光州5.18』 http://may18.jp/

韓国現代史や民主化運動に関心を持つきっかけに。1980年、韓国で起きた<光州の悲劇>を完全映画化

『ウリハッキョ』 http://urihakkyo.blog105.fc2.com/

北海道の朝鮮学校の日常を描いたドキュメンタリー。子どもたちの「勇敢な登校」が始まる!

4/6-6/28 東松山:オリーヴ・プロジェクト http://www.aya.or.jp/%7Emarukimsn/kikaku/2008/2008olive.htm

遠い国に住むものが、残留パレスチナ人への連帯を表明するには、さしあたりオリーヴの植樹を支援するしかない。各国のアーティストが表現と想像の力をパレスチナに注ぐ

パレスチナ1948 NAKBA』 http://nakba.jp/

パレスチナ人がNAKBA(大惨事)と呼ぶイスラエル建国の年に何が起こったのか? 広河隆一40年間の取材の集大成

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』 http://www.wakamatsukoji.org/

「革命」に、すべてを賭けたかった・・・。5人の若者たちがあさま山荘へと至る、激動の時代を若松孝二が描く!

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