黙っているとモルモットにされる。日本政府は、実はもう存在しない!?
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今日のトピックス/イベント情報/この日記の目的/福島第一原子力発電所の状況/使用済燃料プールの冷却/大気を経由した汚染/汚染水・海水を経由した汚染(海洋投棄)/地下水を経由した汚染/モニタリングデータ/計画停電は何のため?/重要情報のブックマーク
今日のトピックス 黙っているとモルモットにされる。日本政府は、実はもう存在しない!?
おはようございます。
昨日は参議院議員会館に行き、「20ミリシーベルト」撤回要求 対政府交渉に行ってきました。
最近この「原発ダイアリー」を読み始めてくださった方もいると思うので、「20ミリシーベルト問題」をかいつまんで説明しますね。
福島原発事故によって広範囲に放射性物質が飛びました。福島県の調査でも、市内の全小中学校の75%以上で、放射線管理区域に指定される基準(0.6マイクロシーベルト/時)を超える空間線量が検出されています。
放射能の影響は、大人より子どもに強く出ます。これは、新陳代謝が活発なために、放射線によって傷ついた遺伝子も、それだけ多く複製されるからです。また、子どもは大人に比べて呼吸器の位置が低いため、屋外で遊ぶときに、空中を舞っている放射性物質を吸い込みやすいのです。
ということなので、汚染の強い学校は休校・自宅待機にして、放射能値が自然に下がるまで待つとか、除染をするのがいい、ということに普通はなりますよね。
ところがそうなりませんでした。4月19日の、文部科学省と原子力安全委員会の会話を再現すると、こんな感じです
文科省: 「あのー。各地の教育委員会から、校庭が汚染されてるみたいだけど、学校再開して本当にいいか、問い合わせがありまして。平時なら被曝上限は1ミリシーベルト/年ですが、今は非常事態だから、20ミリシーベルト/年に引き上げてもいいですよね」
原子力安全委員会: 「まあそれで安全だとは言えませんが、ICRPの勧告にはそういう数字もあるので(誤読)、いいんじゃないですか。そのかわり、学校の先生には線量計をつけてもらって、その数値は安全委員会に報告してくださいね」
ようするに、休校、除染、疎開などの、子どもたちを放射線から守るための措置は、何もせず「20ミリシーベルト/年までならいい」という書類を出して、終わりにしたのです。
まあ、こんなたとえができますか。「最近、一般道で時速200キロを出すドライバーが増えていますから、制限速度を一律時速200キロにしましょう」とか。ありえないでしょ?
そのうえ! 独自の判断で校庭を除染した郡山市に対して、高木文部科学大臣は、「そんなことはする必要がない」と言いました。そのあたりの、恐ろしく無責任な言葉を直接聞きたい方は、政府交渉の時の動画をご覧下さい。
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1032
うーん、それで、最近思っていたことを、まとめてみますね。
まず、政府と電力会社、研究者は、原発を推進したいあまり、「原発は安全です♪」という嘘をついてきました。
もちろん、80キロ圏、100キロ圏の広域避難計画など、ありません。「安全なんだから、そんなものいらない」わけですね。
文科省も、子どもたちにも教本を配ったり、原子力ポスターコンクールなどに応募させたりして、安全をアピールしてきました。電力会社は年間1千億円もの資金を広告につぎこんでテレビ・新聞を支配し、「安全です」というCMを流し続けてきました。
結果どうなっているかというと、日本人のほとんどが、「原発は安全。電気の1/3は原発が作ってる」というおまじないを、内面に深く刻み込まれてしまったのです。
そこに、福島原発事故が起こりました。「安全です」という宣伝にも、みんなの意識にも、真逆の事件ですよね。
こういうことになったとき、人はまず思考停止に陥るようです。信じてきたものが、音を立てて崩壊しているのだから、当然といえば当然です。「こんな危ないものはストップしなければダメだ」と気がつく人もいますが、逆に、なかったことにする人もいます。たとえば文科省。ストップしたら、今まで年間2000億円も受け取ってきた、原子力関係の研究開発費がなくなってしまうからです。もんじゅとか。
一番かわいそうなのが、被曝しながら学校に通わされる子どもたちなのは、言うまでもありません。みんな大人の都合です。いつか私たちは、ガンや白血病になった子どもたちにこう詰問されると思います。「お父さん・お母さんたちは、どうして原発に反対しなかったの? 私たちがこんなに苦しむって、本当に知らなかったの?」と。
福島では、「原子力安全アドバイザー」という役職の研究者の人々が、安全をアピールしています。中には「年間100ミリシーベルトまでなら被曝しても問題ありません」という人もいるようです。本当は、1ミリシーベルト/年でも、影響はあるのに……。
政府は、国民の生命・財産を守ることを、すでに放棄しています。そして、この国の明日を支える子どもたちから、優先的に葬ろうとしています。福島の子どもたちはこれから被曝し、その健康状態を研究されることになります。こんなものは、すでに政府とは呼べません。
そんな中で、もし政治というものが意味を持つとしたら、無責任な原子力利権官僚たちから権力を取り上げ、子どもたちを放射能から守り、これまでの原子力にまつわる、冒険としか言いようがない政策を総括して、エネルギー政策を根本的に改める、その舵取りをする他ないのではないか。
読者の皆さんはいかが思われますか。
それではまた明日まで、お元気で。(写真を提供してくれた「弱い文明」さん、ありがとうございました。)
イベント情報
ぜひ、お近くで開かれる集会やデモにご参加ください。このところ、イベントが多すぎて(素晴らしい!)、追いきれなくなってきました。そこで、次のサイトをご参照ください。
http://newsfromsw19.seesaa.net/article/195072595.html
http://datugeninfo.web.fc2.com/
この日記の目的
福島第一原発事故に関する情報を、手短にまとめる試みです。不正確な点がありましたら、どうぞメールなどでご指摘下さい。 editor@chechennews.org (情報提供もお受けしています)
サイトの内容の引用やリンクはご自由にどうぞ。
福島第一原子力発電所の状況
4号機は地震当時、定期点検中だったため、もともと炉心に燃料がないが、建屋上部の使用済燃料プールには、大量の燃料が格納されている。燃料の崩壊熱を下げるために外部から注水を続けているが、水素爆発のためにプールは破損しており、冷却水が放射能汚染水となって漏出している。また、核分裂の際に発生するヨウ素131が汚染水から検出されていることから、臨界状態が発生しているという意見もある。つまり燃料プールが、原子炉化している可能性がある。
3号機炉心上部で温度上昇。12日:170度から、14日:250度。注水の増強が必要。(4/14東電発表)
1号機の炉心の7割以上が損壊しており、燃料の被覆管のジルコニウムなどから大量の水素が発生、水素爆発の危機が迫っている。
さらに危険なのは、圧力容器内で溶融した炉心が水と接触して発生する水蒸気爆発である。そして、原子炉内部での再臨界の可能性も有識者から指摘され始めた。福島原発の危機的状況は、なお拡大している。
放射性物質の大量の放出が続いている。全体の量は公開されていないようだが、爆発などが起こっておらず、比較的落ち着いていた4月5日の時点でも、一日あたり154兆ベクレルが放出されていたという報道がある。同量が事故発生後24日間放出されていたと仮定すると、3,696兆ベクレルは軽く放出されている。
下表の通り、タービン建屋地下に高濃度の汚染水が流出した事実は、格納容器の破損を意味している。「柏崎刈羽原発の閉鎖を科学者・技術者の会」によれば、圧力容器の底部に溶融した燃料が到達し、底部の制御棒挿入部を壊して、吹き出している可能性が高い。
「低レベル汚染水の放出」と呼ばれる、事前予告のない放射性物質の海洋投棄が続き、世界的な問題になりつつある。すでに中国、韓国、ロシアの政府とメディアからは批判が続出しており、大気へのベントも含めると、風下の北米圏からの批判が強まるのも時間の問題。
原子炉にもともと設置されている冷却システムが復旧する可能性は極めて低い。格納容器への注水が即・放射性物質を含む漏水となっている現状を考えると、今後環境に排出される放射性物質の量は相当多くなるであろう。
1号機 | 2号機 | 3号機 | 4号機 | |
製造 | 1971年GE製 | 1974,GE,東芝 | 1976,東芝 | 1978,日立 |
空中写真 | ||||
主な出来事 | 3/12 水素爆発(原子炉建屋) | 3/15 水素爆発(圧力抑制プール) | 3/14 水素爆発(原子炉建屋) | 3/15 水素爆発(使用済燃料貯蔵プール) |
原子炉 | 燃料400体。炉心溶融。圧力容器破損の疑い。温度低下、ノズル部で260度(上昇)。圧力容器への真水注入を中断、水素爆発防止のため窒素注入中。 | 燃料548体。炉心溶融。圧力容器破損。圧力抑制プール破損。真水注入中(!)。 | 温度急上昇中。燃料548体。炉心溶融。圧力容器破損の疑い。真水注入中 | 燃料なし |
燃料の損傷率* | 70% | 30% | 25% | - |
使用済燃料プール | 使用済燃料292体、新燃料100体。水位、水温不明。注水中断 | 使用済燃料587体、新燃料28体。燃料破損の疑い。水位不明、水温(51度)。注水中 | 使用済燃料514体、新燃料52体。水位、水温不明。注水中 | 使用済燃料1331体、新燃料204体(!)。燃料棒の一部が破損。通常の100倍濃度の汚染水あり。水温90度前後。注水中。漏水あり |
高濃度汚染水 | 2万5千トン。タービン建屋地下の汚染水は380万ベクレル/cc。核分裂生成物(死の灰)漏出か。複水器から貯蔵タンクへ移送中。 | 2万5千トン。取水口付近の汚染水はヨウ素131が210ベクレル/cc(法定限度の5300倍)。核分裂生成物漏出か。複水器から貯蔵タンクへ移送中。 | 2万2千トン。原子炉建屋地下に深さ5mの汚染水。タービン建屋地下の汚染水は390万ベクレル/cc。核分裂生成物漏出か | 原子炉建屋地下で2万トン。。濃度も事故後に上昇を続けている。 |
その他 | 原子炉建屋内の温度40度、湿度94〜99%の蒸し風呂状態。放射線値不明。人間による内部での作業は極めて困難。 | ウランとプルトニウムを混在させたMOX燃料を装荷。制御困難に陥りやすく、拡散した場合に毒性が最も高い。 | もっとも多量の核燃料がプールに貯蔵されている。プールが高所にあるために、余震による倒壊が懸念されている。 | |
主な出典 | *4/7東電発表値を採用 東京新聞連載「福島第一原発の現状」、NewYorkTimes"Status of the Nuclear Reactors at the Fukushima Daiichi Power Plant"など 空中写真はPhotos of the Day - Fukushima Dai-ichi Aerialsより |
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使用済燃料プールの冷却
すべて生コン圧送機で注水中。
大気を経由した汚染
参考図
ドイツ気象庁による放射性物質の飛散予想(むこう3日間)。放出源の濃度が分からないため、気候条件のみによる予想です。つまり、この期間のあいだにあり得るベントや爆発によって、放射性物質が放出した場合に、どのように拡散するかをシュミレートしたものなので、この図から直接、危険度を評価することはできません。くわしい説明はこちらを:"with eyes closed." by Kan Yamamoto http://www.witheyesclosed.net/post/4169481471/dwd0329
汚染水・海水を経由した汚染(海洋投棄)
4月に入り、東電はタービン建屋で見つかった汚染水約1万トンを海洋投棄した。オリンピック規格のプール3杯分にあたる。汚染水のほとんどは、事故後の冷却作業による注水が、炉心と使用済燃料プールを経由して漏出しているため、冷却すればするほど、放出量も増加する。今も建屋に溜まっている水だけで6万トンにのぼる。
[http://www.nikkei.com/news/headline/article/g=96958A9C93819595E0E3E2E2938DE0E3E2E6E0E2E3E39F9FE2E2E2E2:title= また、2号機の取水口付近からの汚染水は、流出総量が推定で520トン、汚染水に含まれる放射性物質の量は4700兆ベクレル(4700テラベクテル)だった。]
「海はごみ捨て場じゃない」全魚連関係者が東電に抗議。http://www.asahi.com/national/update/0406/TKY201104060148.html
今後、東北地方太平洋側の海洋は、かつてない規模の放射能汚染が続くと思われる。これについては、下記のフランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)が作成した図が参考になる。
「原発はコストの低い電源であり、日本経済を支えている」といった主張は、急速に無意味なものになりつつある。むしろ、「原発は極めてコストの高い災害をもたらし、日本経済にトドメを刺そうとしている」と考える段階に来ているのではないだろうか。
政府と東電は「海水の放射能は拡散することで放射線量が減少するので影響は少ない」としているが、実は拡散した核種をプランクトンが吸い込み、それを魚が食べ・・・という形で、食物連鎖のなかで、蓄積されていく。そして高濃度に汚染された魚介類を、私たちが食べることになる。
発電所の沖合い30キロの地点でも、ヨウ素131やセシウム137が観測されている。4月13日の厚労省の発表によれば、福島県いわき市沖・福島第一原発から35キロの地点で採取されたコウナゴから、1万2500ベクレル/kgの放射性セシウムを検出した。食品衛生法での暫定基準値の25倍。
今後は、規制値の変更(緩和)にも注意が必要。
参考:汚染水の拡散予測(フランスIRSNによる)
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2011/04/irsn-b3b6.html
地下水を経由した汚染
2号機周辺に設置された井戸から出た地下水の放射能濃度が、ここ1週間で17倍に増加している。ヨウ素131が1ccあたり610ベクレル。(4/15朝日 http://www.asahi.com/national/update/0414/TKY201104140463.html )
モニタリングデータ
首相官邸のサイトより:放射線モニタリングデータ
http://www.kantei.go.jp/saigai/monitoring/index.html
計画停電は何のため?
今月で計画停電が終了の見込みなので、この項目は過去ログに入れました。
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20110407/1302151867#keikakuteiden
参考文献と、重要情報のブックマーク
原子力資料情報室 http://cnic.jp/
「福島原発震災」をどう見るか―私たちの見解(その1)http://kk-heisa.com/data/2011-03-23_kkkenkai.pdf (『柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会』)
「福島原発震災」をどう見るか―私たちの見解(その2) http://kk-heisa.com/data/2011-04-07_kkkenkai2.pdf (〃)
全国の放射能濃度一覧 http://atmc.jp/
小出裕章 (京大助教) 非公式まとめ 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章氏の情報発信 http://hiroakikoide.wordpress.com/
参考資料 マニュアルどおりにならない原発事故対応 〜パニックに陥らず、正確な情報で行動しよう http://d.hatena.ne.jp/chechen/20110325/1301023227
「社会情報リテラシー講義:福島原発事故をめぐる「安全」報道を考える」
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- 第1回 「科学」「安全」「安心」:問題を整理する http://researchmap.jp/jowricset-111/#_111
- 第2回 基準と単位を整理する http://researchmap.jp/jo6nkzpvy-111/#_111
- 第3回 数値を確認する http://researchmap.jp/jo7wxgftu-111/#_111
- 第4回 事後と事前:安心と安全の境 http://researchmap.jp/joge2by5g-111/#_111
- 第5回 比べること:安心と安全の境(2) http://researchmap.jp/joxfh3rfa-111/#_111
- ベクレルとシーベルトの変換 http://panflute.p.u-tokyo.ac.jp/~kyo/dose/
<電力の将来>スペインの風力発電、最大の電力源に成長 http://newsfromsw19.seesaa.net/article/195003319.html
流言・デマによるパニックを心配して情報を伏せている方々へ 静岡大学防災総合センター教授 小山真人 http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/etc/riskcom.html
ISEP: 3.11後のエネルギー戦略ペーパー:無計画停電から戦略的エネルギーシフトへ http://www.isep.or.jp/images/press/ISEP_Strategy110404.pdf
日本の加害者化 ーー対岸から火事を眺めて http://newsfromsw19.seesaa.net/article/194703247.html
【福島原発震災(38)】フランスIRSNが海洋汚染のシュミレーション結果を発表 http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2011/04/irsn-b3b6.html
http://sirocco.omp.obs-mip.fr/outils/Symphonie/Produits/Japan/SymphoniePreviJapan.htm
気象庁がIAEAの要請をもとにつくったシミュレーション http://www.jma.go.jp/jma/kokusai/eer_list.html
放射能漏れに対する個人対策(第3版) http://www.irf.se/~yamau/jpn/1103-radiation.html
(以上のまとめ:大富亮)