【転送歓迎】チェチェンイベント情報 2008.03.14

 ちょっとグチみたいなことを書いてしまいます。

 「忙しい」なんていう言葉は、なんだかいやなのですが、ついつい口にしてしまいます。このチェチェンニュースを始めたころは、私は生活のほとんどの部分をこれにあてて、バイトしながら気ままに一人暮らしをしていたのですが、その後生活が大きく変わり、ほとんどニュースを集めたり、書いたりすることができなくなりました。

 そういう時に邦枝さんや藤沢さんが手を上げてくれたので、何とか発行できています。

 人並みに「忙しい」日々が続くといきおい、チェチェンの問題に関わる時間がなくて、3月8日のマスハドフの暗殺記念日の2周年にも何も書けず、こんなんで本当にいいのかなあ、と思いますが、たいていの人は、自分の仕事や用事をかかえながら活動をしているわけで、そういう人たちにとっては、チェチェンに関わるなんて、お金にもならない大変なことをずっとしていたんだ、僕が気ままに生活していた間も。と気が付く、いい機会になりました。

 強力な資金源をみつけて、チェチェンロビーを作るというようなことはできませんが、働いて、家族と暮らして、そんな生活の中で感じたことや、見つけた知恵を、支援運動に生かしていければ、ある種のアマチュアリズムのもとに関わっていけそうな気がします。注意を怠らなければ、曇りのない眼でロシア−チェチェンをめぐる状況や、日本の今を見ていける、そういう種類のアマチュアリズムでありたいのですが。

 さて、そんな小市民的な私の日常にも、向こうから事件がやってくるような時があります。ここ最近では、ネクラーソフの映画「暗殺・リトビネンコ事件」がそうですし、ハッサン・バイエフ医師の日本訪問もそうです。

 「暗殺・リトビネンコ事件」について言うと、これは大変な作品でした。見ていて、とても示唆に富む、今のロシアだけでなく、日本の問題も考える材料の多い映画だということは感じました。しかし、あまりにも情報量が多いので、見た後で、ほとんど語ることができない。そんなふうに思った人も多いのではないでしょうか? 私は今もってそうです。

 「誰かが解説をしないとだめです」という声を、何人かの方からいただきました。そうでないと、ショックな内容なのに、自分の問題として受け止められないからかと思います。つまり「ロシアって大変な国だね」で終わってしまう。適任の人は他におおぜいいるにしても、私もできたらもう一度見て、解説のようなものを書いて、この映画の語ろうとしているところに近づきたいと思っています。時間があいてしまったので、今はもうゼロに戻ってしまっていますが。

 なお、3月29日から名古屋で上映があります。とりあえずご覧下さい。

 もうひとつは、ハッサン・バイエフ医師の招聘です。いわき、仙台、東京、水戸、札幌と、各地で報告会を開いて、明日土曜は京都、日曜は大阪で報告会があります。ぜひご参加ください。

3/15(土) 京都 [チェチェンの戦場と私の医療活動〜ハッサン・バイエフ講演会]

16:00-18:00(15:30開場) 会場:立命館大学衣笠キャンパス創思館303・304号室(正門を入って少し歩くと右手に見える半円型の建物です。わからなければお電話ください) 参加費:500円 交通:京都市バス50系統・JRバス「立命館大学前」/四条河原町から市バス12系統「立命館大学前」 主催:ハッサン・バイエフ京都講演会実行委員会 連絡先:090-9869-8497/gr046054(at)ce.ritsumei.ac.jp(岩間)

3/16(日) 大阪 [チェチェンの戦火を生きた医師〜ハッサン・バイエフ講演会]

14:00-16:00 会場:pia NPO 6階中会議室 参加費:1,000円(学生500円) 交通:地下鉄中央線「大阪港」駅徒歩5分 主催:アムネスティ・インターナショナル日本関西連絡会 連絡先:06-4395-1313/fwht6821(at)mb.infoweb.ne.jp (アムネスティ大阪事務所)

 東京での講演会も、100名ほどの方が参加してくださって盛況でした。いまその内容を書き起こせないのが残念なのですが、いろいろ印象深い話を聞くことができました。

 とりわけこれが、と書くと語弊があるのですが、質疑応答の中で、ある方が、「一番悲惨な目に遭っているのは子供たちなんです。ヒポクラテスの誓いをしているならば、イラクであろうと、チェチェンであろうと、民族を超えて連携してくれないと、カンパできません」という質問というか、意見を言われました。ちょっと他の問題のことも絡めて言われたので、分かりにくかったのですが、だいたいそういう意味の質問があったわけです。

 それに対してバイエフ医師は、「私はどの民族の子どもであっても、子どもたちは人類のみんなの子どもたちだと言ってきました。4月から私はベトナムに行って口唇口蓋裂の子どもの手術をしたあと、次はコロンビアに行きます。イラクで手術したいと申請したこともありますが、許可がでませんでした。私はいかなる宗教でも、皮膚の色でも、差別したことはありません。機会さえあれば、どこにでも行って手術をしたいと思っています」と答えました。会場から拍手が上がりました。

 このやりとり、何かがすれ違っているなあ、と感じたのですが、もちろんこれは、拍手に値する発言だったと思います。質問についてまず言えるのは、バイエフ医師に多くを求めてはいけないということだと思います。やはり、私たち自身も何かを引き受けなくては・・・。

 今回はさほどのことではないのですが、困った質問や意見の開陳というのは、とはいえそれほど困ったことではない、と私個人は考えています。むしろ、困った質問にどう答えていくかというところに、運動の真価が問われるという部分もあると考えるようになってきました。結果として、ここでのバイエフ医師の答えは、やはり印象的なものになったと思います。

 いつだったか、「あなたたちはロシアが嫌いだからチェチェン支援をしているのではないか」と、以前の集会の質疑応答で言われたことがあり、確かそのときは私が司会だったので何か答えたのですが、あんまりいい対応ではなかったかも知れません。「そう見えるかもしれないけど、そういう問題じゃないでしょう」だったかな。これじゃあまるで、ロシアが嫌いな人みたいです。

 今だったらどう答えるでしょう。「嫌いだからじゃありません」と心から言えますが、そこから先が、ちょっとまだはっきしないようです。そんな話をしたら、「理由が必要なんですか」と若い人に言われました。ううむ。この短い言葉にも一理ある。

 ではちょっと長い前置きでしたが、今週のイベント情報、チェチェンのもそれ以外も、お知らせします。ご参加ください。(大富亮/チェチェンニュース)

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