Vol.05 No.07 2005.03.09

チェチェン大統領マスハドフをロシア治安機関が暗殺

 モスクワニュースなどの報道によると、3月8日、チェチェン独立派の大統領アスランマスハドフロシア連邦保安局(FSB)の掃討作戦により殺害されました(人物情報)。在欧のスポークスマン、ザカーエフ文化相もこれを確認。暗殺は以前から憂慮されていたことですが、とうとうこの日がきたという感想です。

 このことの背景には、マスハドフが2月にチェチェン側からの一方的停戦をおこなったこと、つい数日前にもプーチン大統領に対する 和平交渉のシグナルを送ったことが挙げられます。

 マスハドフが和平を提案しつづけ、一方的停戦によって一定のの指導力を示したことで、戦争の継続をのぞむロシア治安機関にとって、マスハドフの「脅威」は高まりました。その結果このような事態になったものと思われます。

 民主的に選挙されたチェチェンの指導者との、交渉による平和の可能性が消えました。この死は、チェチェン紛争をさらに混乱させることでしょう。まがりなりにも存在した、一つの時代の終わりを感じます。(大富亮)