ロシアの子ども兵士たち

チェチェン問題を語るとき、「ロシアの侵略に対する抵抗の歴史」という言葉がよく用いられる。ロシアを加害者として、チェチェンを被害者として、チェチェン戦争を捉える見方は、解りやすくはあるけれど、ときに被害者が加害者になる可能性というものを忘れさせてしまう。ここで言いたいのは、チェチェン人が加害者でもあるということではない。「掃討作戦」と称してチェチェンの人々を拷問し、誘拐し、殺害するようなロシア軍の中には、多くの子ども兵士がいる。彼らは、チェチェンの人々に対する加害者であると同時に、ロシア社会の被害者でもある。


2006年5月、アムネスティ「ロシア連邦に国連子ども兵士禁止条約を批准させよう」キャンペーンを開始した。呼びかけ文の日本語訳は「The Wire May 2006 子ども兵士」で読むことができる。内容を三段論法的に勝手に3行でまとめると
(1) 毎年世界中で何千人もの子ども兵士が死んでいる
(2) 2006年5月時点でロシアは国連子ども兵士禁止条約を批准していない
(3) したがってロシア(政府)は子どもが死ぬことを何とも思っていない
となる。

上記は暴論に見えるかもしれない。けれども、2004年9月のベスラン学校占拠事件で、ロシア治安部隊の強行突入によって300人以上の子どもが犠牲になったという事実は、ロシア政府やロシア軍が子どもの命にどの程度の価値を置いているかについて、一定の判断材料を与えてくれる。何より、チェチェンではすでに5万人近くの子どもが戦争の犠牲になっているのである。

アムネスティのキャンペーンは、サイトに用意された英語の文面を、FAXやメールでロシア政府に送るというもので、5分もあればできてしまう。(メールで送る場合には、右下の「Yes, I have taken this action」というボタンをクリック。)
ぜひ時間があれば送ってみてください。

「ロシア連邦に国連子ども兵士禁止条約を批准させよう」キャンペーン

チェチェン戦争を終わらせるためには、まずロシアが変わらなければならないと思います。