国民投票法案、衆議院で可決

先日、国会の衆議院本会議を傍聴してきました。そのときの様子を簡単にお伝えします。(邦枝)

2007年4月13日(金) 衆議院本会議

13:03 会議開始、と思った瞬間、いきなり与党議員が立ち上がって、賛成多数で「教育再生に関する特別委員会」の設置が決定される。すでについていけない予感が満載。

13:04 国民投票法案の審議が始まる。憲法調査特別委員会の中山太郎委員長(自民・82歳)が満場(正確には国会の三分の二を占める与党)の拍手に迎えられて登壇。憲法調査特別委員会での法案の審議過程について10分ほど喋る。昨日の委員会では、何を言っているのかほとんど聞き取れなくて、健康上の余計な心配までしてしまったが、今日は入れ歯の調子がよいらしい。

13:14 次は国民投票法案の民主党案を作成した枝野幸男委員が登場。彼の前半の演説はかなりよかった。内容を簡単にまとめると:
・安倍ソーリが任期中の憲法「改正」にこだわるのは、格差是正など他の課題が何一つうまくいっていないからである。
憲法は権力を拘束するためのものであり、憲法を守る義務は国民ではなく議員を含む公務員に課されている(これは私見ではなく立憲主義の定義)。
・したがって、特定の政治家や特定の政党の理念にもとづいた憲法というのは本来ありえず、憲法を権力の道具と見なす安倍ソーリの憲法観は、政治思想的に150年後退したものと言わざるをえない。

しかし、「安倍総理、聴いていてください!」と訴える枝野委員には満場(正確には国会の三分の二を占める与党)のブーイングが。常々思うことだが、国会中継に同時通訳を入れて世界に配信したら、日本経済は一夜にして壊滅するのではないだろうか。

13:31 近藤基彦理事(自民)が民主党を「唯我独尊」と批判。唯我独尊するにはどう考えても議席が足りてませんが。ていうか自民党議員の発言の前後に20秒以上の満場(正確には国会の・・・以下略)の拍手が入るのは、どう考えてもファッショなんですけど、それ、どうにかしてくださいません?

その後、古川元久委員(民主)や大口善徳委員(公明)、笠井亮委員(共産)の発言が続く。大口委員は与党案を「あらゆる角度からの叡智を結集させてできた」と自画自賛していたが、この程度の「叡智」なら2ちゃんねるのすべての掲示板に溢れかえっていると思う。

14:07 最後の弁論は辻元清美委員(社民)。憲法は主権者のものであり、与党や民主党国民投票法案は国民のための国民投票法案になっていないという彼女の指摘は、冷めた見方をすれば没個性的な正論にすぎない。けれど、国会では正論を主張することほど「浮く」ことはない、だから彼女はカッコよい、そう思わされるような数分間だった。

14:14 与党案の国民投票法案が、満場(正確には・・・以下略)の拍手と与党の賛成多数で可決。要するに120%(0の数はお好みで追加してください)出来レースなのだけど、これで国民投票法案の審議は参議院に移ることに。これ以上ないほど、あっけない展開。だが、この「あっけない展開」に行き着くまでに、私たち有権者はどれだけ多くの誤った選択をしてきたことだろう。

というわけで、今後の動きは引き続き「憲法審議ってば、今どうなってるの?国会速報」でチェック。もし時間があれば、(4月13日ではなく)4月12日の日本国憲法調査特別委員会の辻元さんの質疑もぜひ聞いてほしい。

衆議院TV: http://www.shugiintv.go.jp/jp/

このときの彼女の発言を、数年後あるいは十数年後、私たちはどんな気持ちで思い返すのだろうか。あるいは忘れてしまうのだろうか。あるいは・・・。