もっともコストの高い電源、それは原子力

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今日のトピックス もっともコストの高い電源、それは原子力

 おはようございます。

 残念ながら、原発推進論者の石原慎太郎氏が都知事に当選してしまいました。いやはや、災害を「天罰だ」と言い切る人を知事に頂く都民は、これからどんな災害があっても、「天罰だから我慢しなさい」と言われることを覚悟しなければなりません。大変な時代です。

 先日からこのダイアリーでは、原発推進論の常套句である、「原発はコストの低い電源であり、日本経済を支えている」という主張について、むしろ、原発は極めてコストの高い災害をもたらし、日本経済にトドメを刺そうとしている」という意見を書いてきました。また、最近の毎日新聞に、立命館大学の大島堅一教授の意見として、まとまった意見が載りました。必読の内容です。ハイライトを紹介します。

東日本大震災:福島第1原発事故 原発の問題点を聞く(4月3,10日毎日新聞)
●事故前から最も割高
 原発は出力調整が出来ないため、需要の少ない深夜電力で水をポンプで上げて貯水し、昼間に発電する「揚水発電」をしている。原発のコストは「原子力+揚水」で見なければいけない。水力のうち、揚水は51.87円、一般水力は3.88円。「原子力+揚水」は19.13円となり、火力を上回り最高額となる。
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20110403ddlk26040355000c.html
http://mainichi.jp/area/kyoto/news/20110410ddlk26040370000c.html

 大島教授はこの他にも、福島事故による天文学的な金額の被害保障、原発廃炉費用を挙げています。これらはすべて私たちが支払う電気代と税金から支払われます。そうでなければ、東電の内部留保に求めるしかありません。それらを含めて、本当に原発は「経済的」なのかが問われています。

 一方、経団連米倉弘昌会長は次のように語ります。

東電国有化「必要ない」=国は全面支援を―経団連会長(時事通信4/11)
 米倉会長は、国有化が必要ないとする根拠として「原子力損害賠償法では、大規模な天災の際は国が補償することになっている。今回の場合は、国が全面的に支援しなければならない」と述べた。さらに「国の支援があって初めて、原子力産業の発展と被災者救済がバランスよく保たれる」と語った。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110411-00000134-jij-bus_all

 「国の支援があって初めて、原子力産業の発展と被災者救済がバランスよく保たれる」・・・イミフです。国の支援がなければ、被災者救済はしないという意味かもしれません。これもある種の「天罰」でしょうか。

 ところで、昨日のダイアリーを見た方から、「それなら、何マイクロシーベルト以下なら安全なの?」という質問を受けました。

 厳密な意味では、安全な場所はもうないと思います。原子力を人間が発見して以来、常に人工的な放射能が環境に放出されてきました。原爆、核実験、原発と。そして、被爆による病気のリスクは少しづつですが、常に上がって来たのです。

 たとえば、政府のいう「緊急時の基準」である20ミリシーベルト/年の被爆を仮に生涯受けた場合、6人に1人がガンを発症します(25%、死亡率はその半分)。今の日本人の死亡原因の30%はガンですから、局地的には43%以上の人がガンで死ぬことになるでしょう。とりわけ、子どもたちがガンになると、早いスピードで進行します。

 人が原子力を解放したときから、そして、福島原発事故以来「安全」はなくなりました。これからは、これ以上状況を悪くしないために、より被爆リスクの少ない生き方や、社会のあり方を冷静に考え、行動する時だと思うのですが、皆さんはいかがお考えでしょうか。

 それではまた明日まで、お元気で。

この日記の目的

 福島第一原発事故に関する情報を、手短にまとめる試みです。不正確な点がありましたら、どうぞメールなどでご指摘下さい。 editor@chechennews.org (情報提供もお受けしています)
 サイトの内容の引用やリンクはご自由にどうぞ。

福島第一原子力発電所の状況

 1号機の炉心の7割以上が損壊しており、燃料の被覆管のジルコニウムなどから大量の水素が発生、水素爆発の危機が迫っている。

 さらに危険なのは、圧力容器内で溶融した炉心が水と接触して発生する水蒸気爆発である。そして、原子炉内部での再臨界の可能性も有識者から指摘され始めた。福島原発の危機的状況は、なお拡大している。

 下表の通り、タービン建屋地下に高濃度の汚染水が流出した事実は、格納容器の破損を意味している。「柏崎刈羽原発の閉鎖を科学者・技術者の会」によれば、圧力容器の底部に溶融した燃料が到達し、底部の制御棒挿入部を壊して、吹き出している可能性が高い。

 「低レベル汚染水の放出」と呼ばれる、事前予告のない放射性物質の海洋投棄が続き、世界的な問題になりつつある。すでに中国、韓国、ロシアの政府とメディアからは批判が続出しており、大気へのベントも含めると、風下の北米圏からの批判が強まるのも時間の問題。

 原子炉にもともと設置されている冷却システムが復旧する可能性は極めて低い。格納容器への注水が即・放射性物質を含む漏水となっている現状を考えると、今後環境に排出される放射性物質の量は相当多くなるであろう。

     1号機 2号機 3号機 4号機
製造 1971年GE製 1974,GE,東芝 1976,東芝 1978,日立
空中写真
主な出来事 3/12 水素爆発(原子炉建屋) 3/15 水素爆発(圧力抑制プール) 3/14 水素爆発(原子炉建屋) 3/15 水素爆発(使用済燃料貯蔵プール)
原子炉 燃料400体。炉心溶融。圧力容器破損の疑い。温度低下、ノズル部で260度(上昇)。圧力容器への真水注入を中断、水素爆発防止のため窒素注入 燃料548体。炉心溶融。圧力容器破損。圧力抑制プール破損。真水注入中(!)。 燃料548体。炉心溶融。圧力容器破損の疑い。真水注入中 燃料なし
燃料の損傷率* 70% 30% 25% -
使用済燃料プール 燃料292体。水位、水温不明。注水中断 燃料587体。水位不明、水温(51度)。注水中 燃料514体。水位、水温不明。注水中 燃料1331体(!)。水位、温度不明。注水中
高濃度汚染水 タービン建屋地下の汚染水は380万ベクレル/cc。核分裂生成物(死の灰)漏出か。複水器から貯蔵タンクへ移送中。 取水口付近の汚染水は1sv/h強の汚染(10分ほど急性障害が生じる)。核分裂生成物漏出か。複水器から貯蔵タンクへ移送中。 タービン建屋地下の汚染水は390万ベクレル/cc。核分裂生成物漏出か
その他 ウランとプルトニウムを混在させたMOX燃料を装荷。制御困難に陥りやすく、拡散した場合に毒性が最も高い。
主な出典
*4/7東電発表値を採用
東京新聞連載「福島第一原発の現状」、NewYorkTimes"Status of the Nuclear Reactors at the Fukushima Daiichi Power Plant"など
空中写真はPhotos of the Day - Fukushima Dai-ichi Aerialsより

使用済燃料プールの冷却

 すべて生コン圧送機で注水中。1、3、4号機の温度、水位不明。2号機の温度は不安定。(4/1:58度 4/1:72度 4/2:61度 4/3:50度 4/5:71度 4/6:68度 4/7:51度)

高濃度汚染水

 タービン建屋で見つかった汚染水を、4/4から東電が海水に投棄し始めた。この汚染水のほとんどは、事故後の冷却作業による注水が、原子炉と使用済燃料プールを経由して漏出しているため、冷却すればするほど、放出量も増加する。建屋に溜まっている水だけで6万トンにのぼる。(下の「海水を経由した汚染」の項も参照ください)
 亀裂からの汚染水の流出を止めるための「水ガラス(ケイ酸ナトリウム)」が話題になっているが、全体の状況を考えれば、一部の亀裂を塞いでも、別の場所から漏出するようになるだけだろう。

大気を経由した汚染

参考図

ドイツ気象庁による放射性物質の飛散予想(むこう3日間)。放出源の濃度が分からないため、気候条件のみによる予想です。つまり、この期間のあいだにあり得るベントや爆発によって、放射性物質が放出した場合に、どのように拡散するかをシュミレートしたものなので、この図から直接、危険度を評価することはできません。くわしい説明はこちらを:"with eyes closed." by Kan Yamamoto http://www.witheyesclosed.net/post/4169481471/dwd0329

海水を経由した汚染

 「海はごみ捨て場じゃない」全魚連関係者が東電に抗議。http://www.asahi.com/national/update/0406/TKY201104060148.html

 集中廃棄物処理施設内の汚染水8000トンの投棄が、8日まで行われます。また、5、6号機地下の汚染水1500トンも、9日までに投棄されます。(東電発表4/7)。

 今後、東北地方太平洋側の海洋は、かつてない規模の放射能汚染が続くでしょう。これについては、下記のフランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)が作成した図が参考になります。

 「原発はコストの低い発電方法であり、日本経済を支えている」といった主張は、急速に無意味なものになりつつあります。むしろ、原発は極めてコストの高い災害をもたらし、日本経済にトドメを刺そうとしている」と考える段階に来ているのではないでしょうか。

 政府と東電は「海水の放射能は拡散することで放射線量が減少するので影響は少ない」としているが、実は拡散した核種をプランクトンが吸い込み、それを魚が食べ・・・という形で、食物連鎖のなかで、蓄積されていく。そして高濃度に汚染された魚介類を、私たちが食べることになる。

 今後は、規制値の変更(緩和)にも注意が必要。

参考:汚染水の拡散予測(フランスIRSNによる)
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2011/04/irsn-b3b6.html

地下水を経由した汚染

 冷温停止中の福島第一原発5、6号機の地下でも、低レベル汚染水をを検出。(4/3)

モニタリングデータ

 首相官邸のサイトより:放射線モニタリングデータ
http://www.kantei.go.jp/saigai/monitoring/index.html

計画停電は何のため?

 今月で計画停電が終了の見込みなので、この項目は過去ログに入れました。
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20110407/1302151867#keikakuteiden

 東電管内で唯一稼働中の柏崎原発の総出力が491万kwですから、もしこれを停止させても、停電は必要ないことになります。原発は必要ありません。

イベント情報

 ぜひ、ご参加下さい。

4月16日(土)

●大阪「緊急4.16原発いらん!関西行動」
http://chikyuza.net/n/archives/8262

4月17日(日)

●京都 原発もうムリ!4.17鴨川・大風呂敷
4月17日(日)午前11時〜日没(その後、人がいるかぎりずっと)
京都・三条河川敷にて http://genpatsumoumuri.seesaa.net/

4月23日〜5月6日

●東京『特集上映 25年目のチェルノブイリ
http://www.mmjp.or.jp/pole2/
 ポレポレ東中野では、チェルノブイリ原発事故の発生した4月26日に毎年、原発に関する作品の企画上映を開催しています。単純な賛否ではなく、そもそも原子力発電とは何なのか、なぜ原発を必要とするのか、その背景を見据えることから始めようと、国内外の作品を問わず、劇映画、ドキュメンタリー、原発の建設記録を追った映画なども上映してきました。事故から25年目の今回は区切りの年として規模を拡大し、二週間の特集上映を企画しました。

4月24日(日)

●東京 くり返すな!原発震災 つくろう!脱原発社会 集会とデモ
http://www.peace-forum.com/gensuikin/katsudou/110424yotei.html

●広島「原発なしで暮らしたい100万人アクション in ヒロシマ
http://blogs.yahoo.co.jp/mxx941/3510988.html

4月29日(金)

●東京「終焉に向かう原子力」第11回 チェルノブイリ原発事故25周年
東海地震の前に浜岡原発を停止させよう 福島原発震災をくりかえすな
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20110408/1302268362

参考文献と、重要情報のブックマーク

原子力資料情報室 http://cnic.jp/
福島原発震災」をどう見るか―私たちの見解(その1)http://kk-heisa.com/data/2011-03-23_kkkenkai.pdf (『柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会』)
福島原発震災」をどう見るか―私たちの見解(その2) http://kk-heisa.com/data/2011-04-07_kkkenkai2.pdf (〃)
全国の放射能濃度一覧 http://atmc.jp/
小出裕章 (京大助教) 非公式まとめ 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章氏の情報発信 http://hiroakikoide.wordpress.com/
「社会情報リテラシー講義:福島原発事故をめぐる「安全」報道を考える」

    1. 第1回 「科学」「安全」「安心」:問題を整理する http://researchmap.jp/jowricset-111/#_111
    2. 第2回 基準と単位を整理する http://researchmap.jp/jo6nkzpvy-111/#_111
    3. ベクレルとシーベルトの変換 http://panflute.p.u-tokyo.ac.jp/~kyo/dose/

<電力の将来>スペインの風力発電、最大の電力源に成長 http://newsfromsw19.seesaa.net/article/195003319.html
流言・デマによるパニックを心配して情報を伏せている方々へ 静岡大学防災総合センター教授 小山真人 http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/etc/riskcom.html
ISEP: 3.11後のエネルギー戦略ペーパー:無計画停電から戦略的エネルギーシフトへ http://www.isep.or.jp/images/press/ISEP_Strategy110404.pdf
日本の加害者化 ーー対岸から火事を眺めて http://newsfromsw19.seesaa.net/article/194703247.html
福島原発震災(38)】フランスIRSNが海洋汚染のシュミレーション結果を発表 http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2011/04/irsn-b3b6.html
http://sirocco.omp.obs-mip.fr/outils/Symphonie/Produits/Japan/SymphoniePreviJapan.htm
気象庁IAEAの要請をもとにつくったシミュレーション http://www.jma.go.jp/jma/kokusai/eer_list.html
放射能漏れに対する個人対策(第3版) http://www.irf.se/~yamau/jpn/1103-radiation.html

(以上のまとめ:大富亮)