ノーヴァヤ・ガゼータ:ポリトコフスカヤ特集

ootomi2006-10-09


ノーヴァヤ・ガゼータによる10月9日のアンナ・ポリトコフスカヤ特集の冒頭に寄せられた文章です。
元がロシア語のため、訳にあまり自信がありませんが、取り急ぎお送りします。


彼女は美しかった。年を重ねるごとに美しくなっていった。なぜなら・・・成熟するにつれて、彼女の魂が外面に現れるようになったから。

彼女は、魅惑的な笑顔を浮かべて、ユーモアに溢れた冗談をいい、不正に涙を流すことのできる女性だった。けれども、不正を働く人間にとって、彼女は敵以外の何者でもなかった。

彼女は驚異的なほど勇敢な人物だった。護衛に囲まれて戦闘用ジープに乗っているような多くの―本当に多くの―男たちよりも、はるかに勇敢だった。

彼らは彼女を脅迫しようとした・・・彼女はロシア当局に逮捕され、射殺されそうになったこともあった。ベスランに向かったときには毒殺されそうになったこともあった。

ノーヴァヤ・ガゼータの読者でさえ、「彼女はもう充分報道してくれたのだから・・・」などと言って彼女を追悼しようとする。もう充分?彼女はいつだって真実を書いてきた。真実はしばしばおぞましいもので、多くの人はそれを認めようとしなかった。だからこそ、自分の後ろめたさを隠すような反応をする。「もう充分」だと。ときには、編集者でさえ、そんなことを言う。

人間にとってもっとも困難なことは、おぞましい事実から目を背けないことだろう。けれど、もしも不正というものを直視すれば、そんなことは許されない。アンナは不正を直視していたからこそ・・・もっとも弱い立場の人間に寄り添って生きてくることができたのだ。

私たちにとって、アンナはまだ生きている。彼女の死による悲しみが癒される日など来ない。誰が彼女を殺したのだとしても・・・どこにいたとしても・・・私たちは彼女を殺した犯人を見つけてみせる・・・ノーヴァヤ・ガゼータがある限り、犯人を安眠させることはない。