ロシア、チェチェン穏健派を故意に殺害

2007年7月7日 Telegraph

 原文: http://www.telegraph.co.uk/news/main.jhtml?xml=/news/2007/07/07/wmoscow207.xml

 クレムリンチェチェン戦争を長引かせるために故意に穏健な独立派を殺害したという訴えが、チェチェン共和国の前議会議長の失踪に対する責任をロシアに問う欧州人権裁判所の判決によって、昨日以来現実味を帯びてきた。

 ルスラン・アリハジエフは2000年5月にチェチェンのシャリ村の実家で拘束された。以後彼の行方は知られていない。

 チェチェン抵抗運動内においてイスラム過激派に対する批判者であったアリハジエフは、穏健派として広く知られており、分離主義者率いる共和国での凄惨な戦争を終わらせるために停戦協定を呼びかけたこともあった。
 クレムリンを批判する人々は、以前から、ロシア軍が過激派を生き残らせる一方で、平和を求める穏健な独立派を故意に標的にしていると主張していた。

 ウラジーミル・プーチン大統領が戦争を利用して自らの支持率を上げて政治的な利益を得る一方で、多くのロシア軍司令官は独立派に武器を売り渡すビジネスに手を染めることで儲けてきたという批判もある。

 チェチェンでの人権侵害を調査している人権団体「メモリアル」のオレグ・オルロフは、「(アリハジエフが失踪した)原因の一つは、平和交渉の突破口を見出すことのできる政治的指導者を消すためだったと思う」と語っている。

 欧州人権裁判所はロシア政府に対して4万ユーロ(2万7000ドル)をアリハジエフの母親に賠償金として支払い、アリハジエフの死について適切な調査を始めるよう命じた。

 ロシアは、欧州評議会の加盟国として法的に裁定に従う義務があるが、裁判所によってモスクワに下された近年の一連の判決に一貫して不快感を示してきた。

 ロシア政府は、アリハジエフを拘束する作戦にロシア軍のヘリコプターと装甲車が投入されていたという明らかな証拠があるにもかかわらず、アリハジエフの失踪に関する責任を一切認めていない。

 ロシア軍は1994年以降の二度のチェチェン戦争で、広範に及ぶ蛮行を行ってきたことで非難されている。

 チェチェン共和国の大半を(チェチェン)親ロシア政府が掌握し、モスクワ寄りの行政府が樹立されてはいるが、(チェチェンでは)低強度の紛争が続き、隣国に波及している。