参議院を野党に − チェチェンの選挙の貴重さから考える
(大富亮/チェチェンニュース)
じつは昨日、入院中の母の見舞いに行った。期日前投票のためだ。母は私の母なので、政治にはそれなりに意見がある。「病院で投票ができるけど、したい?」と聞けば、内心では面倒でも、「やるわよ」と言って、あとには引かないのだ。たったの1票。それでも、つらいリハビリの合い間に、車椅子に乗って投票しに行く価値はあると、母は思っている。
マスハドフの死という区切り
チェチェン問題をこうして書いている私にとって、2005年はひとつの区切りだった。身をゆだねてきた一つの時代が終わり、先の見えない模索の時期が始まった。チェチェンのマスハドフ大統領が、ロシアに暗殺された日を境目に。
それまでは何だったかというと、「ロシア政府は軍事侵攻をやめ、民主的に選挙されたマスハドフと交渉せよ」という、いたってわかりやすい要求を、くりかえしぶつけてゆくことができた頃だ。世界中のチェチェンを知る人々がそうしてきたからこそ、ロシア政府は追い詰められ、マスハドフは殺されることになった。
選挙の貴重さ−−は、マスハドフの死に見ることができる。
マスハドフの任期は第二次チェチェン戦争のさなかに切れていたはずだとか、そういう細かい問題はどうでもいい。あえてそう言う。
選挙の抹殺
大事なことは、マスハドフが、チェチェンの人々の意思を、選挙によって体現していたことだ。60パーセントを超える有権者が、ロシアとの和平と、高度な自治の獲得という、マスハドフの提案に応えたという事実の重さ。これは今のチェチェン情勢にもそのまま通じると思う。
たとえ97年にあったチェチェン大統領選の頃から人々の考えが多少変っていても、傀儡のアフメド・カディロフを選んだロシアの官製選挙や、その息子ラムザン・カディロフに世襲を許した同じくロシア式選挙とは、正統性の点で比べ物にならない。
その選挙を暗殺によって葬ったロシア政府への怒りとかは、もう改めて書く必要はないだろう。マスハドフと同時に選出されたチェチェン議会議長ルスラン・アリハジエフも、第二次戦争がはじまってすぐの99年にロシア治安機関に不当逮捕され、監獄に消えて消息がない。たぶん、モスクワのレフォルトヴォ刑務所で死んだのだと言われている。
日曜を境に、日本の政治は動く
自民党の中でも極右の安倍政権は、前回の国会で、衆参合わせて17回の強行採決をした。選挙された野党の議員と話し合う必要はないと17回言い、実際話し合いをやめて、与党のいいように法案を通した。これなら議会はいらない。独裁と同じだ。
けれども、人々は怒っている。きっと次の日曜を境に、日本の政治は動き始める。野党が過半数の議席を確保すれば、与党の思い通りに法案を通すことはできなくなる。それでいいのだと思う。民主主義国なのだから。衆院と参院の判断がいつも同じではないことにこそ、二院制の意味があるのだから。
では、誰に、どう投票すればいいのか?
そこで、「安倍占い」と、「年金振り込め詐欺撃退マニュアル」というすごい名前のサイトをお勧めしたい。携帯からもアクセスできる。( http://k1.fc2.com/cgi-bin/hp.cgi/20070729/ ) この目玉は、「年金振り込め詐欺撃退マニュアル」という名の、実は全部の選挙区の選挙対策マニュアルだ。
参議院は、二枚の投票用紙を使って投票する。一枚は全国区の比例代表。これは、支持している政党の名前を書けばいい。全国区で出馬している候補者の個人名も書くことができて、こうすると政党というより、その候補者への投票になる。
それからもう一枚は、各地の小選挙区の候補者への投票用紙。ここが考えどころ。小選挙区は、特に1人〜2人区の激戦区で死票が出やすい制度なので、与野党逆転のためにはなるべく有効な投票をしたいところ。そこで、「マニュアル」の出番になる。それがどんなものかというと、まずすべての選挙区の候補者を、次のようにカテゴリー分けする。
□ 放っておいても当選しそうな人
◎ 特にお勧めの候補者
○ 死票になるかもしれないお勧め候補者
× 再チャレンジしていただきたい人
△ その他いろんな人たち
そうやって、死票を減らしつつ与党の過半数割れへの最適化戦術を示すというもので、ぜひ一度試して、面白かったら、知人友人にも紹介してほしい。ただ、◎特にお勧めの候補者は、人によって判断が違ってくることはくる。