ザカーエフへのインタビュー

 Q:「チェチェン抵抗運動に影響を与えかねないコソボ問題、それから、ロシアとヨーロッパの緊張関係についてご意見をお伺いします。国際社会は―コソボ独立承認に関してロシアの介入を排除しようとしていますが―いずれチェチェンの独立を支持しようとするでしょうか?」

 ザカーエフ:「もう何年にもわたって、世界中の政府が、チェチェン人に対するロシアの戦争犯罪を―それを黙認することで利益を得ようとして―極めて強く支持してきました・・・コソボをめぐる状況は興味深いものです。というのは、ロシアは、公式にはそれに反対しながら、実際にはコソボの独立を望んでいるからです。ロシアは、コソボ独立という先例が出来次第、すぐにでもアブハジア南オセチア、プリッドニエストロビーを併合しようとするでしょう」

Q1:現在のチェチェンの抵抗運動はどのような状況にあるのでしょうか?抵抗はこれからも続くと思いますか?バサーエフの死によって抵抗運動の戦略や戦術は変わったのでしょうか?カディロフ派が抵抗運動に加わっているという情報もありますが、この情報はどの程度正しいのでしょうか?抵抗運動の展望はいかがですか?

 アフマッド・ザカーエフ:私たちは8年にわたってチェチェン抵抗運動を続いてきました。抵抗運動は特定の誰かの考えにもとづいて始めたわけではなく、ロシア軍がチェチェンを占領したために始めたものです。つまり、抵抗運動はチェチェン内にロシア軍が進駐している限り続くということです。シャミーリ・バサーエフは、確かにチェチェン―後には対ロシア戦線の全北コーカサス軍―の主な指導者の一人でした。バサーエフの死はロシア・チェチェン紛争の未来に影響を与えました。私たちの戦いでは、尊厳ある同士の死は、ひたすら生き残った者の紐帯を深め、抵抗を続けようという信念と使命を強めます。

 抵抗軍の兵士たちがカディロフツィに寝返るという話を聞くこともあります。ある状況下では、こうしたことが実際に起こっています。逆にカディロフツィが抵抗軍に加わることがあっても不思議はないでしょう。というのは、チェチェン人は本来なら仲間割れをしているのではなく、ロシアに対して戦っているからです。私たちが共通の敵と戦っているということは、チェチェン北コーカサスの人々の未来が国境を越えて作られつつあるということからも明らかです。

Q2:傀儡政権の将来はどのようなものになると思いますか?カディロフは彼を支持する若者の組織を作りました。民衆がカディロフを支持しているという意見もあります。これに対する意見をお願いします。

 アフメッド・ザカーエフ:傀儡政権が占領時にしか存在できないことは歴史が証明しています。チェチェンでは多くの人間が―若者も―厳しい占領下を生き抜くためにカディロフ政権に協力しているのです。チェチェン人は誰かに対して幻想を抱くことはありません。今まで生き抜いてきた経験が教えてくれました。私たちはロシアの専制君主スターリンエリツィンの時代を生き抜き、そして今もプーチンの時代を生きています。カディロフが私たちにとって脅威なのは、プーチンの後ろ盾があるからです。

Q3:カディロフがいずれ「偶像」になるだろういう分析もあります。これについてはどう思われますか?

 アフメッド・ザカーエフ:カディロフについてはすでに充分すぎるほど喋りました。

Q4:チェチェンの未来について、どう思われますか?

 アフメッド・ザカーエフ:チェチェンの未来には自由と繁栄が約束されています。チェチェン占領の代償が極めて高くつくということをロシアはすぐに理解するでしょう。

Q5:チェチェン抵抗運動に影響を与えかねないコソボ問題、それから、ロシアとヨーロッパの緊張関係についてご意見をお伺いします。国際社会は―コソボ独立承認に関してロシアの介入を排除しようとしていますが―いずれチェチェンの独立を支持しようとするでしょうか?

 アフメッド・ザカーエフ:もう何年にもわたって、世界中の政府が、チェチェン人に対するロシアの戦争犯罪を―それを黙認することで利益を得ようとして―極めて強く支持してきました。けれども、ロシアはそうした期待に沿うことはないと―お気の毒ですが―言わなければなりません。コソボをめぐる状況は興味深いものです。というのは、ロシアは、公式にはそれに反対しながら、実際にはコソボの独立を望んでいるからです。ロシアは、コソボ独立という先例が出来次第、すぐにでもアブハジア南オセチア、プリッドニエストロビーを併合しようとするでしょう。コソボ独立という先例は、ロシアにとって国連安全保障理事会で全会一致の決議を必要とせずに物事が解決することを意味しているのです。上記の3つの共和国と他の地域の併合を同列に語ることに米国やヨーロッパがよい顔をしないことはロシアも承知しています。そのため、ロシアはコソボ問題で国連安保理の決議がまとまらなかったことを歓迎しています。けれども、チェチェン人にとって重要なことは、ロシアがその正体を現してきているということです。


 原文
 http://www.ajanskafkas.com/haber,16511,1040_104710721082107210771074_1059_106310771095108.htm