チェチェンアンサンブル、フィンランド入国直後に亡命申請

ootomi2007-08-08


 チェチェンの有名なフォークアンサンブルの一つ、親ロシア政府がバックについている「ゾウハル」(真珠)のメンバー達が、フィンランド公演のために到着した直後に、政治亡命を申請した。チェチェンでの生活が、当局が宣伝しているほど安全ではないという理由だ。

 現地の人権活動家、ミヒャエル・ストロージによれば、18人のメンバーのうち、子どもは7人。8月6日に列車でヘルシンキに到着した直後に亡命を申請した。「ゾウハル」はマネージャーのビスラン・サラリエフに率いられていて、4人の歌手、2人の男性の音楽家、および彼らの配偶者と子どもたちが同行しているという。
 ストロージ氏は、フィンランドの数箇所での公演を準備して彼らを迎えに行ったが、駅でゾウハルのメンバー達は亡命申請をしたいと告げた。「それでその晩に警察署に行きましたよ」と彼は言う。公演は延期された。

 チェチェンのカディロフ大統領(親ロシア派)は、この動きを「政治的日和見主義だ」と呼び、なるべく大事にならないように発言している。「ぜんぶのアンサンブルが亡命を申請したわけではない。たった4人の元芸人がこういうことをしたにすぎないし、彼らは別に政治的な理由で行ったわけでもない。単に住む場所を変えたかっただけだ」と、8日にチェチェン大統領府が発行したプレスリリースの中で声明している。「市民は自分の住む場所を選択することができる。西ヨーロッパであれ」とも。

 メンバーたちは、公式にはこの出発前にアンサンブルを辞職していて、サラリノフによれば、「われわれはただの市民としてここに来ていて、政治的野心はまったくない」としている。

 ストロージによれば、チェチェンでの生活状況が耐えがたいものだったために、彼らは亡命を訴え出たという。チェチェンでは常に暴力にさらされる可能性があり、もし市民が悪いタイミングで外を出歩いていたら、それだけで掃討作戦の犠牲になると訴えている。
 
 ロシア政府は公式にはすでにチェチェン戦争は終わったとしているが、グロズヌイなどの都市でも流血が続いている。7月には南部のヴェデノでも、爆弾で2人の兵士が死んでいる。ここ数週間の間に、近隣のイングーシ共和国でも小競り合いが続いている。

 (親ロシア派の)チェチェン文化相ディカル・ムザカーエフは、国費で活動中のアンサンブルが国を捨てたという見方を否定した。彼がインターファックスに語ったところによると、「ゾウハルのメンバーはグロズヌイにいて、今も活動を続けている。1か月まえ、4人の女性と2人の男性が、フィンランドからの招待状を持って来たが、フィンランドでの招へい人が個人だったので、認めなかった。メンバー達がその場で辞職を求めたので、それは認めた」としている。

 メンバー達は、フィンランドへの亡命の可能性を握っている。フィンランド当局者のエスコ・ペコ氏は、誰であれ、チェチェン人であることを証明できれば、亡命が認められるとインタビューに答えている。それによると、2006年にロシアから176人の亡命申請があったうち、15%以上がチェチェン人たっだという。人権活動家のストロージ氏によれば、すでに210人のチェチェン難民が、フィンランドで生活している。

 北欧各国はここ数年で「難民天国」の様相を呈しており、ノルウェーではすでにチェチェン難民の人口は2000人前後まで達している。そのうちもっとも有名な人物は、暗殺されたアスランマスハドフ大統領(独立派)の息子、アンゾールである。

http://www.themoscowtimes.com/stories/2007/08/08/003.html