続報:ノブゴロド州列車事故

 13日にモスクワ―サンクト間の鉄道線路上で発生した爆破事件について、ロシア治安当局は北コーカサス武装勢力チェチェン人を含む)による犯行という線で捜査を開始したようです。

 [コメルサント 8/20]
http://www.kommersant.ru/doc.aspx?DocsID=796631&NodesID=6

 事件発生当初は、地元の過激派民族主義者や鉄道会社の元職員の犯行という見方もありましたが、当局は容疑者を「新勢力の拡大と警察による取り締まりに反発する地元(しかしなぜか北コーカサス出身の)マフィア勢力」に絞り込んだようです。記事を読む限り、判断の根拠はよくわかりません。


 周辺の住民に聞き込みを行った結果、事件の一週間ほど前に現れて事件後に姿を消した北コーカサス出身と思われる人物がいるそうなのですが、それだけで上記の結論を出すのは強引にすぎる気がします。記事には、バサーエフが立ち上げたリャドゥス・サリヒーン部隊の副司令官が犯行声明を出したことで、当局の見方がいっそう裏づけられることになった、というようなことが書かれているので、素直に解釈すると、犯行声明の有無に関わらず捜査の方向性はあらかじめ決定されていたということでしょう。

 この事件と関連があるかどうかわかりませんが、18日にはカバルディノ・バルカリアとイングーシで爆弾テロが未然に防がれたそうです(治安当局発表)。

 [Caucasian Knot 8/18]
http://eng.kavkaz.memo.ru/newstext/engnews/id/1194964.html

 13日にノブゴロド州列車事故が起こり、16日に上海協力機構の対テロ合同軍事演習が開催され、18日に2件の爆弾テロが未然に防がれる。もしもこれがロシア治安機関の筋書きだとすれば、あまりにベタな展開で先も見えていると思うのですが、今のところこの点に関して突っ込みを入れている報道機関はないようです。

 ノブゴロド地区では治安機関が北コーカサス出身者を徹底的な監視下に置く体制が敷かれています。事件をロシア治安機関による自作自演と仮定した上で今後を予測すると、少なくとも12月の下院選まではこのようなテロやテロ未遂が適当に繰り返され、捜査はうやむやになるか、北コーカサス出身者が逮捕されることになるでしょう。それにしても、テロの未然防止までもが自作自演だとすれば、あまりに第二次チェチェン戦争直前の状況と似すぎてはいないでしょうか。(邦枝)