候補者なき大統領選挙

[もう一つのロシア 12/15]
原文: http://www.theotherrussia.org/2007/12/15/an-election-without-candidates/

 著名な作家であり人権活動家でもあるウラジーミル・ブコフスキーは、大統領選挙への出馬が危うくなっている。ソ連の反体制派活動家は、「発起人グループ」を組織しようとしたところ、当局の妨害を受けた。ラジオ『モスクワのこだま』が報じた。ロシアの法律では、候補者を出すためには、最低でも500人からなるグループを集めなければならない。
 ブコフスキーは、1970年代にソ連から亡命していたが、大統領選挙に出馬するために今年帰国し、ウラジーミル・プーチン大統領を批判していた。

 ブコフスキーの支持者が予約をしていた集会場は、直前になって契約を破棄された。キング・コンサート・ホールの管理人は、「私たち」運動の指導者ロマン・ドブロホトフに対して、自分たちがクレムリンの圧力に屈したことを明らかにした。どうやらロシア治安当局が経営者と「雑談」をしたらしい。幸運にも、ブコフスキーは別の住所で中央選挙委員会の申請リストに載っていたため、日曜日に再度出馬を表明する予定である。

 ブコフスキーよりもさらに激しい妨害に遭っている候補者もいる。その人物は現在「政治的な理由」のために刑務所に入れられている。12月14日、アレクサンドル・ドンスコイは、北部文化センターから発起集会の開催を拒否する通知を受け取った。書簡によると、センターでは緊急の修繕が行われることになり、「12月15日から17日まで電気が使えなくなってしまう」ということだった。ドンスコイの支援者は、真の動機が政治的なものであると考えている。

 北部アルハンゲリスク市の市長であるドンスコイは、2月に大統領選に出馬すると表明してから、様々な嫌がらせを受けてきた。ドンスコイは、突然、贈賄罪や偽証罪の疑いを何度もかけられ、学位を詐称しており、個人的な利益のために市長の地位を利用しているとして糾弾された。9月、ドンスコイは1年間の禁固刑を下され、7万5000ルーブル(約34万円)の罰金を課された。8月以降、ドンスコイは職権を濫用し、市の財産を利用して自身と家族のためのガードを雇っていたという三番目の容疑(彼は捏造されたと主張している)により、刑務所に入れられている。

 今週の始めに、ウラジーミル・プーチン大統領は、ドミトリー・メドベージェフを大統領後継候補に指名した。それ以来、多くの潜在的候補者が引きずり降ろされている。メドベージェフに対抗して大統領選に立候補することは、プーチンクレムリンにあからさまに敵対する行為だというわけだ。まだ引きずり降ろされていない人々も、困難に直面している。「もう一つのロシア」の指導者ガルリ・カスパロフは、集会開催予定地での契約を破棄され、候補を取り下げざるを得なくなった。

 プーチンのお墨付きを得たメドベージェフは、何の問題もなく選挙を支配し、過半数の投票を得るだろう。そのためにも、反対派への厳しい圧力は、いっそう深刻になっている。