日本で公表されない気象庁の放射性物質拡散予測
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今日のトピックス/この日記の目的/福島第一原子力発電所の状況/使用済燃料プールの冷却/タービン建屋の汚染水/空気を経由した汚染/海水を経由した汚染/地下水を経由した汚染/モニタリングポスト/計画停電は何のため?
今日のトピックス「日本で公表されない気象庁の放射性物質拡散予測」
読売新聞 4月4日によると:
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、気象庁が同原発から出た放射性物質の拡散予測を連日行っているにもかかわらず、政府が公開していないことが4日、明らかになった。
ずっと前からみんな知ってました。
ドイツやノルウェーなど欧州の一部の国の気象機関は日本の気象庁などの観測データに基づいて独自に予測し、放射性物質が拡散する様子を連日、天気予報サイトで公開している。日本政府が公開しないことについて内外の専門家からは批判が上がっており、政府の原発事故に関する情報開示の在り方が改めて問われている。
これがそれです。
日本政府は国民に情報を知らせるとパニックになるから、口頭で「ただちに健康に影響はない」と言い続けているのだと思います。どこまでも人をバカにした話です。ではまた明日、ごきげんよう。
この日記の目的
福島第一原発事故に関する情報を、手短にまとめる試みです。不正確な点がありましたら、どうぞメールなどでご指摘下さい。情報提供も歓迎します。 editor@chechennews.org
サイトの内容の引用やリンクはご自由にどうぞ。
福島第一原子力発電所の状況
外部電源はすべての制御室に届いたが、冷却システムは依然として復旧していない。東京電力は「2、3号機の冷却システムの一部の復旧のめどが立った(4/1読売)」としていたが、その後報道がない。もしシステムが稼働しても、2号機はすでに圧力容器・格納容器とも破けているので、冷却が十分にできるとは考えにくい。できたとしても、汚染水の排出が拡大する。
1号機 | 2号機 | 3号機 | 4号機 | |
製造 | 1971年GE製 | 1974,GE,東芝 | 1976,東芝 | 1978,日立 |
空中写真 | ||||
主な出来事 | 3/12 水素爆発(原子炉建屋) | 3/15 水素爆発(圧力抑制プール) | 3/14 水素爆発(原子炉建屋) | 3/15 水素爆発(使用済燃料貯蔵プール) |
原子炉 | 燃料400体。炉心溶融?。燃料棒の一部が水面上に露出、損傷の疑い。真水注入 | 燃料548体。炉心溶融。圧力容器に何らかの穴。圧力抑制プールに損傷。真水注入 | 燃料548体。炉心溶融?。燃料棒の一部が水面上に露出、損傷の疑い。真水注入 | 燃料なし |
燃料の損傷率* | 70% | 33% | 25% | - |
使用済燃料プール | 燃料292体。水位、温度不明 | 燃料587体。水位不明、水温(61度) | 燃料514体。水位、温度不明。外部から生コン圧送機で注水 | 燃料1331体。水位、温度不明。外部から生コン圧送機で注水 |
タービン建屋 | 汚染水あり(1000倍・炉心冷却水との比較) | 汚染水あり(10万倍・同) | 汚染水あり(1000倍・同) | - |
その他 | 取水口付近の亀裂から、汚染水(放射線量は1時間あたり1000ミリシーベルト)が流出中 | ウランとプルトニウムを混在させたMOX燃料を装荷。制御困難に陥りやすく、拡散した場合に毒性が最も高い。 | ||
主な出典 | *(2/25東電発表値を採用)朝日新聞1号機核燃料「最大で7割損傷」 米エネルギー省認識 http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104020194.html 東京新聞2011年4月3日「福島第一原発の現状」、NewYorkTimes"Status of the Nuclear Reactors at the Fukushima Daiichi Power Plant"など 空中写真はPhotos of the Day - Fukushima Dai-ichi Aerialsより |
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使用済燃料プールの冷却
すべて生コン圧送機で注水中。温度など状態は1、3、4号機とも不明。判明している範囲では2号機の温度が上昇中。(4/1:58度 4/2:72度 4/3:61度)
空気を経由した汚染
文科省によると、原発から30km離れた地点(福島県川俣市上空)での高度160mでの放射線量は0.3マイクロシーベルト毎時。通常の10倍。爆発が起こった直後から比べると、各地点での検出量は、見かけ上減少しているはず。(空気中を拡散したか、または雨で地面に落ちた。水や農畜産物、人体に蓄積する)
海水を経由した汚染
2号機ピットにたまった汚染水が継続的に流出中。この水の線量は1000マイクロシーベルト毎時。ピット直近の海水からは通常運転時の原子炉水の約1000倍に当たる濃度の放射能を検出している。吸水ポリマーなどで水の流路を塞ごうとしているが、効果はでていない。
「東京電力は31日、福島第一原発1〜4号機の放水口から南に約330メートルの海岸沿いで、30日午後に採取した海水から、原子炉等規制法が定める基準の4385倍に当たる濃度の放射性ヨウ素131を検出した、と発表した」(3/31朝日 http://www.asahi.com/special/10005/TKY201103310174.html )
モニタリングポスト
4/1現在いまだ復旧せず。東電のやる気を疑う。 http://www.tepco.co.jp/fukushima1-np/monitoring/index2.html
計画停電は何のため?
東電サイトより:よくあるご質問
なぜ計画停電を実施する必要があるのですか?その回答 国内観測史上最大の地震の影響により多数の発電所が停止しております。そのため想定する需要に対して供給力が不足する見通しで、不測の大規模停電を防ぐために、やむを得ない緊急事態となりましたので、計画停電を実施させていただいております。
http://tepco.okbiz.okwave.jp/EokpControl?&tid=143144&event=FE0006
電気は本当に足りないのでしょうか?
「随時調整契約を結ぶ大口事業者への供給を抑えれば、計画停電で社会全体に迷惑をかけずにすむ。本当に全契約者に使用削減を要請しているのか。計画停電の被害を軽く考え、『やはり原発は必要』と思わせようとしているのではないか」(経済ジャーナリスト 萩原博子)
「パニックになって無計画に始めたが、供給力から見て計画停電がなくても十分対応可能だ。やろうと思えば明日にも計画停電を打ちきれる。その意思決定ができない。原発の事故処理とは別問題」(環境エネルギー政策研究所所長 飯田哲也 いずれも東京新聞4/4特報面より)
電力供給量を集計してみました。こちら:2011keikaku.xls
東電発表による、4/4の供給量=3,850万キロワット(A)
東電発表による、4/4の需要量=3,600万キロワット
一見、つなわたりのようですが、
最大出力での供給量=4,528万キロワット(B)(前掲のxlsファイルより)
と考えると、(A-B)=678万キロワットもの余裕があります。発電施設は必ずしも全力は出せないとか、送電ロスもあるかもしれませんが、計画停電の必要性には疑問が大きいです。
(大富亮)