見えないものを見るには──子どもの被爆限度をめぐる、対政府交渉は、いよいよ今日です。
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今日のトピックス/この日記の目的/福島第一原子力発電所の状況/使用済燃料プールの冷却/大気を経由した汚染/汚染水・海水を経由した汚染(海洋投棄)/地下水を経由した汚染/モニタリングデータ/計画停電は何のため?/イベント情報/重要情報のブックマーク
今日のトピックス 見えないものを見るには──子どもの被爆限度をめぐる、対政府交渉は、いよいよ今日です。
行ってきました。とりあえずUSTREAMのビデオを紹介します。
http://www.ustream.tv/recorded/14169488 (40分すぎで止まります)
http://www.ustream.tv/recorded/14170225 (ぜひ最後まで見てください)
おはようございます。今日はまず、ある本の一部を読んでみます。
1998年11月、はじめてイラクに入国した。……すでにイラクでの小児白血病の発症率は、湾岸戦争前の4倍になっていた。患者が増えても薬がない。白血病病棟では毎日のように子供たちが亡くなる。いったん病態が悪化すると加速度的に悪くなり、本当にあっという間に子供は死ぬ。付き添いの家族が「ここから元気に治って出て行った子供を見たことがない。皆、死んで出ていくのだ」とつぶやいていた。
これは、イラクで米軍が使った劣化ウラン弾の影響を調べた鎌仲ひとみさんと、肥田舜太郎さんという医師による「内部被爆の脅威ー原爆から劣化ウラン弾まで」の一節です。どうしてここで引用したかというと、放射線の影響は子どもたちに一番早く、そして強く現れるということを、ひとまず知ってほしかったからです。(肥田舜太郎/鎌仲ひとみ著 ちくま新書)
福島の小中学校での高い放射線値が気になっています。確かに学校を休みにすると学力に響くし、しかし健康被害も心配だし……。と思っていたら、あっさり新学期が始まっていました。
放射能の怖さは、目に見えないところです。二つの意味があります。一つは、風に乗って、雨に溶けて私たちのところに届くとき、文字通り、目に見えないこと。
もう一つは、たとえば、10ミリシーベルトの放射線を1年間に浴びると、1400人のうち1人がガンになる確率があるけれど、実際にガンになったとき、喫煙によるものか、アスベストか、それとも放射能によるのか、区別がつきにくいことです。そういう意味でも、見えにくい。しかし、ほぼ確実に、ガン患者数と死亡率をそれだけ引き上げます。
こういう風にも言えます。
「今いる1400人の生徒のうち、誰かとにかく1人を傷つける」という脅迫があったとします。過去の事態から、その脅迫は深刻に受け止めるべきこともわかっているとします。学校で警戒を強化したりなどの対策を取ることはほぼ確かでしょう。
この例では、今いる生徒が今傷つけられるという状況で、今いる生徒が一生のうちに癌になるという状況とは少し違うでしょうか。でも、後者も、今の状況が理由で今いる生徒が影響を受ける、という点はかわりません。違うのは、その影響がいつ出るか、だけです。
(社会情報リテラシー講義:福島原発事故をめぐる「安全」報道を考える 第4回 事後と事前:安心と安全の境 http://researchmap.jp/joge2by5g-111/#_111 )
見えないからといって危険を無視してしまうと、私たちは遠からず、もっとひどい悲劇──放射線に苦しむ子どもたちの姿──を見ることになるかもしれません。いま、福島で行われようとしている被爆限度の引き上げ(1ミリシーベルト/年から、20ミリシーベルト/年へ)は、ここで書いた例よりも、高い被爆を生み出すものです。
さてそこで、お願いがあります。可能な方は、次の会合に参加してくれませんか。
原子力安全委員会と文部科学省宛の質問書(2011年4月15日付)を提出しました。これに基づき、21日木曜日に対政府交渉を行います。
・4月21日(木)
・集合 参議院議員会館ロビー 11:00
・事前打合せ 参議院議員会館B107 11:15〜12:30
・対政府交渉 参議院議員会館B107 12:30〜13:30
・取材対応 参議院議員会館B107 13:30〜14:00
・福島みずほ事務所 問合せは以下まで。
・問合せ 阪上(福島老朽原発を考える会)まで 090−8116−7155<会場は100名弱の規模です。立ち見になったり入室ができなくなる可能性もありますのであらかじめご承知おきください>
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2011/04/post-1bd4.html (福島老朽原発を考える会)
平日で、部屋も大きいので、誰でも参加できるそうです。議員会館での集まり(院内集会)は、ほとんどの人が知らない世界……。
こうしてネットで情報をチェックするだけだと、余計に不安な気持ちになったり、事実を確かめてみたくなったりしませんか? 場所は、地下鉄永田町駅・1番出口のすぐそばです。
集合時間前に行くと、入り口で入場用のカードを配る人が待っているはずです。その人からカードを受け取ってください。
少しでも、事実に近い情報を知ることができると思います。そして、政府側の代表が出席したら、その人がどんなことを言うか、よく記憶してください。未来のために。
それではまた明日まで、お元気で。
この日記の目的
福島第一原発事故に関する情報を、手短にまとめる試みです。不正確な点がありましたら、どうぞメールなどでご指摘下さい。 editor@chechennews.org (情報提供もお受けしています)
サイトの内容の引用やリンクはご自由にどうぞ。
福島第一原子力発電所の状況
3号機炉心上部で温度上昇。12日:170度から、14日:250度。注水の増強が必要。(4/14東電発表)
1号機の炉心の7割以上が損壊しており、燃料の被覆管のジルコニウムなどから大量の水素が発生、水素爆発の危機が迫っている。
さらに危険なのは、圧力容器内で溶融した炉心が水と接触して発生する水蒸気爆発である。そして、原子炉内部での再臨界の可能性も有識者から指摘され始めた。福島原発の危機的状況は、なお拡大している。
下表の通り、タービン建屋地下に高濃度の汚染水が流出した事実は、格納容器の破損を意味している。「柏崎刈羽原発の閉鎖を科学者・技術者の会」によれば、圧力容器の底部に溶融した燃料が到達し、底部の制御棒挿入部を壊して、吹き出している可能性が高い。
「低レベル汚染水の放出」と呼ばれる、事前予告のない放射性物質の海洋投棄が続き、世界的な問題になりつつある。すでに中国、韓国、ロシアの政府とメディアからは批判が続出しており、大気へのベントも含めると、風下の北米圏からの批判が強まるのも時間の問題。
原子炉にもともと設置されている冷却システムが復旧する可能性は極めて低い。格納容器への注水が即・放射性物質を含む漏水となっている現状を考えると、今後環境に排出される放射性物質の量は相当多くなるであろう。
1号機 | 2号機 | 3号機 | 4号機 | |
製造 | 1971年GE製 | 1974,GE,東芝 | 1976,東芝 | 1978,日立 |
空中写真 | ||||
主な出来事 | 3/12 水素爆発(原子炉建屋) | 3/15 水素爆発(圧力抑制プール) | 3/14 水素爆発(原子炉建屋) | 3/15 水素爆発(使用済燃料貯蔵プール) |
原子炉 | 燃料400体。炉心溶融。圧力容器破損の疑い。温度低下、ノズル部で260度(上昇)。圧力容器への真水注入を中断、水素爆発防止のため窒素注入中(17日までに6千立方メートル)。 | 燃料548体。炉心溶融。圧力容器破損。圧力抑制プール破損。真水注入中(!)。 | 温度急上昇中。燃料548体。炉心溶融。圧力容器破損の疑い。真水注入中 | 燃料なし |
燃料の損傷率* | 70% | 30% | 25% | - |
使用済燃料プール | 使用済燃料292体、新燃料100体。水位、水温不明。注水中断 | 使用済燃料587体、新燃料28体。燃料破損の疑い。水位不明、水温(51度)。注水中 | 使用済燃料514体、新燃料52体。水位、水温不明。注水中 | 使用済燃料1331体、新燃料204体(!)。燃料棒の一部が破損。通常の100倍濃度の放射能汚染水あり。水温90度前後。注水中 |
高濃度汚染水 | 2万5千トンの高濃度汚染水あり。タービン建屋地下の汚染水は380万ベクレル/cc。核分裂生成物(死の灰)漏出か。複水器から貯蔵タンクへ移送中。 | 2万5千トンの高濃度汚染水あり。取水口付近の汚染水はヨウ素131が210ベクレル/cc(法定限度の5300倍)。核分裂生成物漏出か。複水器から貯蔵タンクへ移送中。 | 2万2千トンの高濃度汚染水あり。原子炉建屋地下に深さ5mの汚染水。タービン建屋地下の汚染水は390万ベクレル/cc。核分裂生成物漏出か | |
その他 | 原子炉建屋内の温度40度、湿度94〜99%の蒸し風呂状態。放射線値不明。人間による内部での作業は極めて困難。 | ウランとプルトニウムを混在させたMOX燃料を装荷。制御困難に陥りやすく、拡散した場合に毒性が最も高い。 | ||
主な出典 | *4/7東電発表値を採用 東京新聞連載「福島第一原発の現状」、NewYorkTimes"Status of the Nuclear Reactors at the Fukushima Daiichi Power Plant"など 空中写真はPhotos of the Day - Fukushima Dai-ichi Aerialsより |
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使用済燃料プールの冷却
すべて生コン圧送機で注水中。
大気を経由した汚染
参考図
ドイツ気象庁による放射性物質の飛散予想(むこう3日間)。放出源の濃度が分からないため、気候条件のみによる予想です。つまり、この期間のあいだにあり得るベントや爆発によって、放射性物質が放出した場合に、どのように拡散するかをシュミレートしたものなので、この図から直接、危険度を評価することはできません。くわしい説明はこちらを:"with eyes closed." by Kan Yamamoto http://www.witheyesclosed.net/post/4169481471/dwd0329
汚染水・海水を経由した汚染(海洋投棄)
4月に入り、東電はタービン建屋で見つかった汚染水約1万トンを海洋投棄した。オリンピック規格のプール3杯分にあたる。汚染水のほとんどは、事故後の冷却作業による注水が、炉心と使用済燃料プールを経由して漏出しているため、冷却すればするほど、放出量も増加する。今も建屋に溜まっている水だけで6万トンにのぼる。
「海はごみ捨て場じゃない」全魚連関係者が東電に抗議。http://www.asahi.com/national/update/0406/TKY201104060148.html
今後、東北地方太平洋側の海洋は、かつてない規模の放射能汚染が続くと思われる。これについては、下記のフランス放射線防護原子力安全研究所(IRSN)が作成した図が参考になる。
「原発はコストの低い電源であり、日本経済を支えている」といった主張は、急速に無意味なものになりつつある。むしろ、「原発は極めてコストの高い災害をもたらし、日本経済にトドメを刺そうとしている」と考える段階に来ているのではないだろうか。
政府と東電は「海水の放射能は拡散することで放射線量が減少するので影響は少ない」としているが、実は拡散した核種をプランクトンが吸い込み、それを魚が食べ・・・という形で、食物連鎖のなかで、蓄積されていく。そして高濃度に汚染された魚介類を、私たちが食べることになる。
発電所の沖合い30キロの地点でも、ヨウ素131やセシウム137が観測されている。4月13日の厚労省の発表によれば、福島県いわき市沖・福島第一原発から35キロの地点で採取されたコウナゴから、1万2500ベクレル/kgの放射性セシウムを検出した。食品衛生法での暫定基準値の25倍。
今後は、規制値の変更(緩和)にも注意が必要。
参考:汚染水の拡散予測(フランスIRSNによる)
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2011/04/irsn-b3b6.html
地下水を経由した汚染
2号機周辺に設置された井戸から出た地下水の放射能濃度が、ここ1週間で17倍に増加している。ヨウ素131が1ccあたり610ベクレル。(4/15朝日 http://www.asahi.com/national/update/0414/TKY201104140463.html )
モニタリングデータ
首相官邸のサイトより:放射線モニタリングデータ
http://www.kantei.go.jp/saigai/monitoring/index.html
計画停電は何のため?
今月で計画停電が終了の見込みなので、この項目は過去ログに入れました。
http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20110407/1302151867#keikakuteiden
イベント情報
ぜひ、ご参加下さい。
4月20日
●東京「大地震」「原発事故」から、自分たち(アジア)の過去・現在・未来を語る集い
発案者 桜井大造(劇団「野戦の月」)、丸川哲史
日時・場所 4月20日午後3時〜6時 明治大学和泉校舎リエゾン棟2階「会議室」
発言予定者 桜井大造、早尾貴紀(東京経済大学教員)、その他表題にあるような話題で集まりを持ちたいと思います。語る中身については、現時点でさほどはっきりしているわけではありません。少なくとも想定しているのは、この間の出来事が何を意味するのか、そして今後、私たちは如何に3.11以降の世界(特にアジアという地で)を生きて行くのかーー発言予定者を中心にし、またそれ以外でも集まられた者同士で話を紡いでみようとする試みです。
とはいえども材料(=起点)が必要なわけです。台湾、大陸中国などを舞台に果敢にテント公演を試みて来た桜井大造氏は、この間、東北の被災地を回られて来ました。桜井氏に映像資料の上映も含め、話題を提供していただきます。また仙台市在住であった早尾貴紀氏(パレスチナ/イスラエル研究者)は、お子さんとともに関西方面に脱出し、その後仙台と関西の間(そして東京)を往復しつつ、ご自身の軌跡をメールその他で発信し続けております。早尾さんにも話題提供をお願いしました。(校舎へのアクセス) http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/izumi/access.html
(キャンパス・マップ) http://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/izumi/campus.html
*リエゾン棟はキャンパス・マップの右の方に書き込まれています。付近は工事中ですので気を着けて来てください。
*上記からもほぼ明らかでありますが、いわゆる「安全対策論」のようなものではありません。趣旨を理解していただけそうな方であれば、どなたでもお誘いください。
4月24日(日)
●東京 くり返すな!原発震災 つくろう!脱原発社会 集会とデモ
http://www.peace-forum.com/gensuikin/katsudou/110424yotei.html●広島「原発なしで暮らしたい100万人アクション in ヒロシマ」
http://blogs.yahoo.co.jp/mxx941/3510988.html
参考文献と、重要情報のブックマーク
原子力資料情報室 http://cnic.jp/
「福島原発震災」をどう見るか―私たちの見解(その1)http://kk-heisa.com/data/2011-03-23_kkkenkai.pdf (『柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会』)
「福島原発震災」をどう見るか―私たちの見解(その2) http://kk-heisa.com/data/2011-04-07_kkkenkai2.pdf (〃)
全国の放射能濃度一覧 http://atmc.jp/
小出裕章 (京大助教) 非公式まとめ 京都大学原子炉実験所助教 小出裕章氏の情報発信 http://hiroakikoide.wordpress.com/
参考資料 マニュアルどおりにならない原発事故対応 〜パニックに陥らず、正確な情報で行動しよう http://d.hatena.ne.jp/chechen/20110325/1301023227
「社会情報リテラシー講義:福島原発事故をめぐる「安全」報道を考える」
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- 第1回 「科学」「安全」「安心」:問題を整理する http://researchmap.jp/jowricset-111/#_111
- 第2回 基準と単位を整理する http://researchmap.jp/jo6nkzpvy-111/#_111
- 第3回 数値を確認する http://researchmap.jp/jo7wxgftu-111/#_111
- 第4回 事後と事前:安心と安全の境 http://researchmap.jp/joge2by5g-111/#_111
- ベクレルとシーベルトの変換 http://panflute.p.u-tokyo.ac.jp/~kyo/dose/
<電力の将来>スペインの風力発電、最大の電力源に成長 http://newsfromsw19.seesaa.net/article/195003319.html
流言・デマによるパニックを心配して情報を伏せている方々へ 静岡大学防災総合センター教授 小山真人 http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/public_html/etc/riskcom.html
ISEP: 3.11後のエネルギー戦略ペーパー:無計画停電から戦略的エネルギーシフトへ http://www.isep.or.jp/images/press/ISEP_Strategy110404.pdf
日本の加害者化 ーー対岸から火事を眺めて http://newsfromsw19.seesaa.net/article/194703247.html
【福島原発震災(38)】フランスIRSNが海洋汚染のシュミレーション結果を発表 http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2011/04/irsn-b3b6.html
http://sirocco.omp.obs-mip.fr/outils/Symphonie/Produits/Japan/SymphoniePreviJapan.htm
気象庁がIAEAの要請をもとにつくったシミュレーション http://www.jma.go.jp/jma/kokusai/eer_list.html
放射能漏れに対する個人対策(第3版) http://www.irf.se/~yamau/jpn/1103-radiation.html
(以上のまとめ:大富亮)