原発に「NO」と言う──大富亮新作展 (Say "NO" to Nukes - OOTOMI Akira Art exhibition)

原発に”NO”と言う──ごあいさつにかえて

 私は幸区のはずれ、加瀬山のふもとで制作を続けています。展示している作品は、ここしばらく暖めていた、水彩画を中心としています。


PDFファイルのダウンロードはこちらから: 2011_oct_ootomi_dm.pdf 直
10月4日(火)〜9日(日) 10:00〜18:30
(初日のみ14時より、最終日17時まで)

「アートガーデンかわさき」第1展示室  入場無料
神奈川県川崎市川崎区駅前本町12-1 タワー・リバーク3F TEL 044-200-1415

http://homepage2.nifty.com/k-bunkazaidan/artgarden/

JR「川崎」駅東口。地上階へ下りて左手、駅ビルに沿って徒歩3分、タワーリバーク(青いガラス張りのビル)内。「京急川崎」駅からは徒歩2分。


 私の絵は、高校生の頃に描き始めた、静物や人物などの具象画から、徐々に抽象的な作品に移っていきましたが、いまも、ときおり海や島などの具象的なテーマを描くことがあります。とくに毎年、旅をしてきた西国出雲の沖に浮かぶ隠岐の島が、しばしば絵の中に現れます。私にとって海は、無限の水がゆるやかに波打つ、懐かしい場所です。

 3月11日、その海からやってきた大きな地震津波で、東京電力福島第一原発が大事故を起こしました。この事故によって、かつてない大量の放射能が日本中、世界中に放出されているのは、ご存知のとおりです。

 私たちみんなが放射能を吸い込み、とりわけ福島や郡山をはじめ、各地の子どもたちの健康が損なわれようとしている、そんな状況の中で、絵を描き、それを見るというのは、一体どのような意味を持つのでしょうか。画家として、──表現に生きる者の一人として、考えこまざるをえません。

 ただ少なくとも、どのような立場の人であれ、原発に”NO”を言うこと──それが、私たちみんなが最初にできることではないかと思います。

 「原発がなくなったら景気が後退する」といった世迷い言には、お引き取り願わなければなりません。今も電気は足りているのに、そして地震はいつでも、どこでも起こりうるのに、人々の健康を損なってまで原発を動かしつづける理由などありません。

 その裏にあるのは「日本が将来、核武装するために原発が生み出すプルトニウムが必要だ」という本音でしょう。原発がなければ核兵器は作れず、まさにワンセットの存在なのです。

 絵、彫刻、音楽──アートはどれも、平和な世界にしか存在できません。戦争や放射能にまみれて、傷ついた世界で、アートがどんな慰めになるのでしょうか。

 いろいろな意味で、アートは「自由」をめざすものです。私も、どのような形でか、自由を感じるようなものを作りたいと願っています。現実を変えるのは簡単なことではありませんが、人によって作られたこの社会は、人の意志によって、今よりよいものに変えられるという可能性が、いつでもあるはずです。

 アートを見ることや、感じることが、どこかで未来を信じることにつながってほしいと思います。どうぞごゆっくり、ご観覧ください。

大富 亮 2011年10月4日