ロシア・チェチェン友好協会潰される!

10月13日、ロシアの地方都市ニジニー・ノブゴロドの裁判所が、現地で活動しているロシア・チェチェン友好協会に閉鎖を命じる判決を出しました。ロシア・チェチェン友好協会は、ロシア人を中心として、チェチェン戦争の平和的解決をロシア社会に訴えてきた組織。アムネスティは、今回の判決を、「チェチェンで人権を侵害されている人々のために活動してきた組織を排除するための計算済みの戦略である」と強く非難しています。


今年5月にドイツの財団から「東ヨーロッパ自由報道賞2006」を受賞している同協会に対して閉鎖が命じられたのは、代表スタニスラフ・ドミトリエフスキーの「過激派」的な行動(by当局)によるらしいです。ドミトリエフスキーは、彼が編集長を務める「人権擁護」新聞で、2005年1月、チェチェン独立派政府のアフメッド・ザカーエフとアスランマスハドフによる声明を掲載したのですが、これが、当局にとって彼に「過激派」のレッテルを貼る根拠となりました。なぜなら、その声明は、独立派がチェチェン戦争の平和的解決を求めている(ロシア政府がチェチェン戦争の平和的解決を求めていない)ことを明らかにするものだったからです。(「過激派」とは、トーキョクの意向に沿わない人々を意味するようです。)

ロシア政府は、チェチェン独立派による声明を完璧に黙殺し、ロシア政府に対して交渉を呼びかけていたマスハドフ大統領(当時)を、声明からわずか2ヵ月後の2005年3月に殺害しました。そして、ドミトリエフスキーは、今年2月、この「過激派」的な行動によって有罪判決を受けています。当然のことながら、こうした当局の行為を当局自身が「過激派」的だと認めたことはありません。

亡くなったアンナ・ポリトコフスカヤの著書『プーチニズム』のあとがきに、こんな一節がありました。
「判断力のない人ならともかく、正常な人ならば誰ひとり法と秩序を司るべき機関に保護を求めたりはしない。彼らは腐り切っているからだ」

2年前に彼女が告発したロシアの現実は、NGO規制法の発効によって、さらに危機的なものになってきています。(邦枝律)