金で買えるプーチン流民主主義

ロシア紙コメルサントが12月19日に報じたところによると、ロシアのREN-TVをプーチンのお友達が買収したそうです。REN-TVは、インターネット上でも有料で中継されている、わりと影響力のあるチャンネル。ロシア国内での視聴者マーケット・シェアは、「第一チャンネル」「ロシア国営テレビ」「NTV」に次ぐ第4位です。ちなみに上位3位はすべて実質上国営なので、ロシアの主要なテレビ局は、これでほぼすべて国営になったと言ってよいと思います。
http://www.doblog.com/weblog/myblog/31550/2619554#2619554

REN-TVは、サンクトペテルブルグ・ロシア銀行のユーリー・コヴァルチュクを通じて買収が進められました。コヴァルチュクとプーチンは、プーチンサンクトペテルブルグ市長を勤めていた1990年代初期から仲がよかったようです。

というようなことを報道しているコメルサント紙自体も、実はこの9月、政府系企業の鉄鋼大手メタロインベストに再買収されていたりします。もともとコメルサント紙は、先月暗殺されたリトビネンコのパトロンだった(らしい)ボリス・ベレゾフスキーが買収した新聞で、そのためこれまで比較的反体制的な報道がなされていました。が、再買収後は、すっかり政府の広報機関になってしまっているようです。

10月に暗殺されたアンナ・ポリトコフスカヤ記者が勤めていたノーバヤ・ガゼータでさえ、編集長が「もう廃刊にしたい。どんなに価値のある仕事でも、命を失ってまで続けるべきではない」と言っているそうで、ロシアの報道の自由、かなり絶滅の危機に瀕しています。プーチンは、「ロシアにはロシアに適合した民主主義の形態がある」なんて述べていますが、言論の自由がない自称民主主義国家って、普通は独裁国家と呼ぶのではないでしょうか。(邦枝律)