ポリトコフスカヤ暗殺で4名を告訴

2007年8月29日 モスクワ・タイムズ

http://www.moscowtimes.ru/stories/2007/08/29/011.html
デイビッド・ノワク

 検察当局は、ノーヴァヤ・ガゼータの記者アンナ・ポリトコフスカヤの暗殺事件で逮捕された10名の容疑者のうち4名を告訴した。火曜、容疑者の弁護士が明らかにした。

 ムラド・ムサーエフ弁護士によると、彼の依頼人であるジャブライル・マフムドフはポリトコフスカヤが暗殺された10月7日前後数日のアリバイがあるという。

  「その頃、彼はモスクワの外にいました。両親とチェチェンにいたのです」。ムサーエフ弁護士はラジオ「モスクワのこだま」で語った。

 ムサーエフによると、彼の依頼人は逮捕された3兄弟の1人で、4名の容疑者は全員が殺人罪に問われている。月曜夜の時点では、ムサーエフは3兄弟だけが告訴されたと述べていた。火曜にも彼は4人目の容疑者については明らかにしなかった。


 事件発生時に他の2人の兄弟がどこにいたかについては、ムサーエフは把握していないという。「一番目の兄は秋に重病を患って入院していましたが、それが正確にいつだったかは本人も思い出せないのです」。

 殺人罪の最高刑は終身刑である。ロシアは近年死刑の執行を停止している。

 検察当局は告訴された容疑者についてノーコメントを通している。

 火曜版のTvoi Den紙は事件に関連して逮捕されたといわれている11名―ユーリー・チャイカ検事総長の月曜日の発表によると逮捕されたのは10名―の容疑者を報道した。このずれはすぐには訂正されなかった。チャイカによると、逮捕された10名はモスクワの犯罪組織に属しており、組織の代表とチェチェン犯罪者のボス、5名の治安当局者がいるという(訳注:この7名に今回告訴された3名のチェチェン人兄弟を加えると10名になる)。

 Tvoi Den紙の容疑者リストにはFSBが月曜日に容疑者に特定したFSBロシア連邦保安局)職員のパヴェル・リャグゾフもいる。Tvoi Den紙によると、容疑者の1人がポリトコフスカヤの後に続いてアパートの中に入り込み、彼女を撃ったという。

 月曜、ノーヴァヤ・ガゼータのセルゲイ・ソコロフ副編集長は、逮捕者の名前と事件の容疑者が一致していると述べた。ノーヴァヤ・ガゼータ紙は独自に調査を行っている。火曜、ソコロフはTvoi Den紙に挙げられた容疑者のリストに関してコメントを避けた。ソコロフは「あれでは捜査がかく乱されるだろう」と述べている。

 誰がポリトコフスカヤの暗殺を命じたかは依然として不明である。チャイカは特定は避けたが海外に在住するクレムリンの敵を非難した。チャイカは、事件の首謀者が政商ボリス・ベレゾフスキーチェチェン独立派政府のアフマッド・ザカーエフ―いずれも多くの容疑でモスクワが引き渡しを要求しているにもかかわらずロンドンに居座っている―だと言いたいようである。

 ソコロフが言うには、Tvoi Den紙は2人の関与を実証しているわけではなく、チャイカは自らが非難する人間を疑おうとしているだけである。

 チャイカは、犯罪組織が、2004年に米国のポール・フレブニコフ記者を、昨年9月に中央銀行のコズロフ副総裁を、さらに数名をウクライナラトビアで殺害した可能性があると述べた。

 火曜、ラトビアのイヴァルス・ゴドマニス内務相は、ラトビアで未解決の二件の殺人事件の容疑者に関する情報を検察庁に求めていくと述べた。二件の殺人事件については言及しなかった。

 ポリトコフスカヤは、チェチェンでのロシア政府の政策を批判する記事を数百本も書いており、生きていればこの木曜日に49歳になるはずだった。プーシキン広場では彼女の誕生日を記念する大規模な集会が予定されている。ガルリ・カスパロフエドゥアルド・リモノフら反体制派の指導者が午後7時に演説を行い、その後、参加者はキャンドルを掲げてレスナヤ・ウリツァにある彼女のアパートまで行進することになっている。