労働契約法を知っていますか?

 思いっきり番外編なのですが、Tさんよりいただいた緊急情報を紹介します。11月15日(木)、衆議院厚生労働委員会で、「労働契約法」という法案が強行採決されようとしています。労働契約法とは、一言でいうと、企業が一方的に定める就業規則に法的な規範を与えるもので、労働者の権利と企業の義務を定めた労働基準法を形骸化させる法律です。
 もう少し具体的に説明すると、就業規則というのは「就業時間、賃金、退職事項、服務規程、出向、配転、懲戒など広範な労働者の権利義務全般について規定するもの」(労働基準法89条)なのですが、これは企業側が厚生労働省労働基準監督署に届け出るだけで策定できることになっています。ですので、もしも、この労働契約法が成立してしまえば、企業側は労働者の労働条件をいつでも合法的に悪化させることができるようになるわけです。法案では、労働条件の変更が可能なのは、それが「合理的」な場合に限るとされています。ただし、変更が「合理的」であるかどうかを判断するのは、労働者ではなく企業の側で、民主党が出している対案も、この点では与党案と大差ないようです。
 というように、この労働契約法は、世論の猛反発を受けて取り下げられたホワイトカラー・エグゼンプション残業代ゼロ法案)級になめくさった法案だと思うのですが、なぜか不気味なほどメディアに取り上げられていないため、このままではひっそりと与党が衆議院で再可決したり、与党と民主党が協力して参議院で可決してしまう可能性もあります。そうなってしまえば、今でさえ到底守られているとは言えない労働者の権利がいっそう侵害されることになり、さらにそれが制度化されることになりかねません。
 労働契約法ついては、「働く女性の全国センター(ACW2)」が、緊急声明を発表し、各党へのサイバーデモを呼びかけています。よろしければご協力をお願いします。また、この問題を、あなたの身近な人にもどうか伝えてください。(邦枝)
 http://acw2.org/news?id=155