ビデオ声明:チェチェン独立派指導者、欧米への「ジハード」を宣言

2007年11月1日 ラジオ・リバティ
Liz Fuller & Claire Bigg

 チェチェン独立派指導者ドック・ウマーロフは、抵抗運動の敵を、ロシア治安部隊から、米国と英国、イスラエルに広げ、そうした諸国に対して「聖戦」を仕掛けることを宣言した。ラジオ・リバティに送られてきた声明ビデオによる。
 独立派上層部の一部は、チェチェン抵抗運動の名誉を失墜させ、独立派を分裂させようとするロシア情報機関の筋書きにチェチェン独立派大統領ウマーロフが乗せられているとして懸念を表し、発言を即座に非難した。
 16分間のビデオの中で、ウマーロフは自身を「北コーカサス首長」と称している。ビデオは今月初旬に作られていたようだが、ラジオ・リバティの北コーカサス支部に送られてきたのは最近だった。ウマーロフはビデオの中で、「イスラム教とイスラム教徒に対して戦争を仕掛けている者すべては我々の敵である」と述べている。ビデオの中で、ウマーロフは、黒字に白いアラビア文字が書かれた旗を背に語っている。
 ラジオ・リバティ北コーカサス支部局長のアスラン・ドウカエフは、ウマーロフの発言は独立運動内で分裂が深まっていることを端的に示していると見る。
 「独立運動は二つの大きな陣営に分裂しました。一つは、ナショナリズムにもとづく独立運動を進める陣営です。主な指導者は、アフメッド・ザカーエフを始めとするチェチェン独立運動における近代的なナショナリストたちです。一方、この声明を支持しているのは、最も過激なチェチェン独立派―いわゆる聖戦主義者、あるいはイスラム派―です」
 実際、ウマーロフの声明は、ここ数年でチェチェン抵抗運動の過激化を促してきた、若年層の過激派兵士たちの出現によるものと見る分析もある。
 けれども、ロンドンに拠点を置くチェチェン独立派亡命外相のアフメッド・ザカーエフは、また別の見方を示している。
 10月22日にchechenews.comに掲載された発言によると、ザカーエフは、ロシア当局がウマーロフをそそのかして北コーカサス首長を自称させ、イスラム教国の名のもとで欧米への宣戦布告をさせたと主張している。
 ザカーエフは、こうした計画の背後にあるのは、国際社会においてチェチェン独立の大義をさらに貶めようとする動機であることを示唆している。ザカーエフによると、これによって、クレムリンアルカイダとの戦いという名目で、チェチェン共和国に致命的な打撃を与え、北コーカサスに軍隊を増派することが容易になるという。
 ラジオ・リバティが10月29日にビデオを受け取った後、ザカーエフは、今後チェチェン政府は―独立派部隊も―ウマーロフを支持せず、独立派議会の直属となるべきであると発言した。
 「我々はチェチェン抵抗運動内の分裂を防ぐためにあらゆる努力をするべきである」と、ザカーエフはchechenews.comで発表した。
 また、ザカーエフは、これまで「才能ある堅牢な戦士」であると評価していたウマーロフが、「煽動家」に乗せられ、大統領としての責任を放棄し、チェチェン共和国の正当性を損なう「犯罪」を犯したことに遺憾の意を示した。

原文: http://www.rferl.org/featuresarticle/2007/11/CB5CBB01-FD76-4E85-AF8A-3BEC1BAF4EC2.html