転載:排外主義を煽る葉書署名活動中止の申し入れ

北朝鮮人道支援ネットワーク・ジャパン(ハンクネット・ジャパン)では、日本労働組合総連合会(連合)が行っている拉致問題の解決を求める葉書送付運動に対し、以下のように抗議しました。

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日本労働組合総連合会御中
                                西暦2008年3月1日

                      北朝鮮人道支援ネットワーク・ジャパン
                            (ハンクネット・ジャパン)

      排外主義を煽る葉書署名活動中止の申し入れ
  
 この度貴会におかれましては、拉致事件の解決を図るためとして、金正日朝鮮労働党総書記宛に直接拉致問題の解決を求める葉書送付運動を展開されることになりました。しかしこのような行動は、決して問題の解決にならないどころか、朝鮮に対する日本社会の排外主義を扇動し、朝鮮と日本の間に平和的な関係を築くことを妨げることとなりますので、即時中止されることを申し入れます。
 拉致事件の解決を求めることに反対する人はいないでしょう。しかし問題とすべきは、解決を図るためには、日本は朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)との間にどのような関係を築いていくべきか、ということです。お互いの立場の相互理解と尊重をもとに友好的な信頼関係を築く以外に、いかなる問題も解決は不可能です。

 日本が近現代において朝鮮に強いた犠牲には、政治弾圧や虐殺、拉致事件、強制連行、強制労働、日本軍性奴隷、資源略奪、文化抹殺などがあります。ところが敗戦後は植民地支配やこうした事実を反省し謝罪するどころか、アメリカの朝鮮敵視政策に追従してきました。このような日本が、自国の拉致事件のことのみを強弁しても、説得力がありません。それどころか朝鮮に対する日本人の歴史認識の欠如を露呈するだけのことであり、この欠如が、朝鮮人の中で大きな不信を生んでいることは想像に難くありません。

 貴会のこの度の運動は植民地問題を完全に捨象したものであり、ピョンヤン宣言で「日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した」と確認されたことと比べれば、実に身勝手かつ内実の伴わない行為と言わざるを得ません。

 また敵視政策と万景峰号の入港拒否に代表される経済制裁朝鮮総聯などへの政治弾圧、在日朝鮮人に対する人権蹂躙を続ける日本政府とそれを支える日本社会のあり方では、むしろ拉致事件の解決の糸口をつみとり、解決を長引かせるだけです。ピョンヤン宣言では「双方は、相互の信頼関係に基づき、国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明した」と述べられています。諸問題の一つである拉致事件についても、この精神に基づき、信頼関係の醸成の為の努力を日本政府と日本社会に求めるのが、「国際協調に根ざす安全で平和な社会」を目指すナショナルセンターとして貴会が取り組むべき歴史的任務であるということを申し添えさせていただき、朝鮮に対する敵対心を煽る葉書署名活動の中止を申し入れます。

http://www.hanknet-japan.org/