マリア・キルバッソワさんがフィンランドで強制送還の危機に
96年にチェチェン戦争の平和的解決を訴えて来日した、ロシア兵士の母親委員会代表(当時)のマリア・キルバッソワさんが、娘さんを頼ってフィンランドに渡ったものの、現地の当局から退去を要請されていたことがわかった。
現地紙などの報道を総合すると、2007年10月、フィンランド国籍を持つ娘のソイツさんを頼って、キルバッソワさんはロシアからフィンランドに渡航した。この時点で何らかの病気をわずらっている。
フィンランド当局に居住許可を求めたものの、よくわからない理由で却下され、ついに強制送還の処分が決まった。そこでフィンランドの裁判所に処分の取り消しを求めて訴訟を起こしたのだったが、6月10日に出た結論は強制送還の1週間猶予というものだった。
この動きに対して、隣国エストニアでは与党国会議員がフィンランドの措置に怒りを表明。「ポリトコフスカヤにあんなことをした国に送還するなどもってのほか」としたうえ、フィンランドからの退去が実際に起これば、エストニアでの難民認定をすると息巻いている。
フィンランド国内はといえば、キリスト教民主党、緑の党の議員や、アストリッド・ソルス移民相もキルバッソワさんの強制送還を差し止めるべきだとの意見を表明している。しかし事態はすでに裁判所に委ねられているもよう。
そして6月12日、キルバッソワさんと弁護士がフィンランドの裁判所に対して行なっている処分の取り消し申し立てが終わるまで、処分は凍結されるという報道があった。弁護側はこれであと数ヶ月間は時間が稼げるとしており、この期間に、救援キャンペーンと、強制送還された場合の危機についての証拠集めがされるという。いぜんとして予断を許さない。(大富亮)