人権活動家、フィンランドから強制送還の危機

 年老いたロシアの人権活動家、マリア・キルバッソワさん(67歳)に出された強制送還命令は、彼女の健康状態に鑑み、1週間猶予されることになった。
 弁護士のレオ・ヘルツバーグによると、キルバッソワさんは強制退去命令への対抗手続きを、行政裁判所で起こす予定。また、難民申請など他の方法での滞在の延長を考慮しているという。
 キルバッソワさんは、娘のケルマン・ソイツさんとともにフィンランドに滞在しているが、フィンランド入管当局は居住許可申請を却下した。理由は、母子関係は居住のための充分な基盤とは考えられないためとしている。6月6日に、裁判所は対抗手続きを却下し、強制退去命令を支持した。
 娘のソイツさんによると、ロシアにはキルバッソワさんを世話できる人はおらず、異論派、人権活動家としての経歴は、国からの保護を得る上での障害になるという。また、フィンランドに居住した場合の母親の医療にかかる費用については、ソイツさんが全額支払う覚悟でいるという。
 キルバッソワさんは、チェチェン戦争に強く反対した活動家であり、軍における人権侵害を追及している、ロシア兵士の母親委員会の創立者でもある。

 フィンランド移民相のアストリッド・ソルス、キリスト教民主党Pa"ivi Ra"sa"nen、および緑の党グループのAnni Sinnema"kiは、それぞれキルバッソワのフィンランド滞在を認めるようにとの呼びかけをしているが、この事件は裁判所に委ねられている。
 キルバッソワさんは、多くのフィンランド人から励ましの声を受けていると、ソイツさんは語る。また、教会の信者などからも支援の申し出を受け取っているが、滞在の延長は認められていない。

 「もし銃を持った警官が家にやってきて、母を無理やり連れ去ろうとしたら、従うほかありません。そういう状況は母にとって身近なものでした。第二次大戦の当時、母はシベリアに強制移住させられていました。歴史は繰り返すというわけです」

http://www.yle.fi/news/left/id93201.html