イフ・カンプーー奴らの帝国
このテキストは子どもたちには見せないでほしい。これは、ノーヴァヤ・ガゼータの記者、スターシア・バブーロワと弁護士スタニスラフ・マルケーロフの殺害に対する、ファシストたちの反応だ。
ロシアにはファシズムが存在している。
これはもう地下活動などではなく、彼らはもう隠れようとするのをやめ、堂々とあちこちの都市の街頭に出てきている。それぞれのシンボルがあり、機関誌があり、特務機関とつながり、戦闘部隊、政党のロビー活動家たち、政府権力のなかにも代表を送り込んでいる。
彼らの餌食となった人々のリストは数百人にのぼる。バブーロワ記者とマルケーロフ弁護士の殺害について、ノーヴァヤのブログも含めて、インターネットに残されたこのファシストたちのコメントをここに公開する。
なぜそうするのかというと、すでに戦いが始まっていることをみなさんに理解してほしいからだ。
〈「ノーヴァヤ」のブログより〉
ーーおれなんか、シャンパンをすこしばかりやったぜ! こたえらんねえ! 反ファシズムのやつらが泣き崩れてんだろうな!(イジョフスク市下院議員のワシーリー・クリュコフが書いたものー編集部注)
ーー殺された二人は醜悪だっただけ、どちらがより醜悪かわからないくらいだが。
ーー二人少なくなったってわけだ、卑劣漢のマルケーロフと、それにあの女の子。あの世で「チムール少年団」(チムール・カチャラヴアといという人を、ネオナチが2005年に殺しているので、この犠牲者チムールをからかっている)にいれてもらえるかな、そうでないとお互い追いかけ回すんでへたばってるだろうからな。
ーーだれが奴らにぶち込んだにせよ、あの二人は正当な報いをうけたんだ。
ーーアンチ・ファシズムの連中はみなやられればいい、とっくにそうすべきだったんだ、ばんざい!
ーー(事件の翌日、殺害現場にシャンパンと書き付けを持ってきた者の書き込み)「おかあさんが言ってた、ひげのおじさんたちと仲良くしちゃだめよ!」こういう連中をあっという間に片づけてくれる人たちがでてきた、しかし、ロシア人の誰かがすでに自分の創作にしてネットにのせてしまった。
ーーロシア正教の信徒として、私はこの殺人を正当化できない。しかし、クヴァチコフ大佐がチュバイスをつぶすことを犯罪と思わないと同じく、ここでもその原理を使えると思う。
これに対するコメント
ーーこれで地獄にも弁護士がいるわけだ!
ーージャーナリストもだ!
ーーふたりのロシア嫌いの連中が地獄に行った。(自由民主党の元議員秘書、エヴゲニー・ヴァリャエフ 編集部注)
これに対するコメント
ーー地獄で焼かれるがいい。
ーー奴らはロシア民族を攻撃していた、犬畜生には畜生らしい死を、だ。
ーーこの弁護士はチェチェンの畜生どもを守ったりして5年も生きながらえていたんだ。ずっと前から墓地でこいつを探していた、棺がケツからつきでていた、地獄のフライパンでとっくに焼かれていていいんだ。めでたし。
〈他のサイトでは・・・〉
ーー毎日せめて10人ずつぐらいロシア嫌いが殺されるといい、ロシア時代がまもなくやってくるぞ。
ーーあれをやってくれたひとに深く敬意を表したい。
ーー地獄で悪魔たちが奴らにブダーノフ同志のブーツを嘗めさせてやるだろう。
〈サッカーの右翼系ファンクラブでは・・・〉
ーー記者の女も病院でくたばった。
ーー世界にはやっぱりいい人がいるんだな。
ーー奴と一緒にバブーロワとかいうノーヴァヤの契約記者も撃たれたらしい。教訓、ユダヤのやつらの出版社で働いて、モスクワの都心を怪しげな男たちとふふらふらするなってこと。
ーーアナスタシアはマルケーロフと言い争った後、バッグからピストルをとりだし、弁護士を撃った。パンを買いに出た通りがかりの目出し帽の男が銃をとりあげようとしたが、かっかとしている女記者は、この通行人をおどし、追いやって自分を撃ったんだ。
ーー今年はさい先がいいぞ! 政治犯は少しずつあまり遠くないところから出てくるし、民族の違いによる暴行はほぼ毎日だ!そのうえ、昨日はまさにあのむかつく連中、ああ、うきうきするぜ! あの人間離れした連中を殺した人にもっと栄光と力を!
ーーこのアマこそ奴のインタビューを取って「ネオナチスト」についての新しい記事を書いた奴だ・・・ちょうどいい潮時だった・・・
ーーなんていいニュースだ!神の存在を信じたくなるぜ。
ーーすばらしいニュースだ! イエスに栄光あれ!
ーー売国奴は片端から殺せ!裏切り者め。
〈ロシアの外務省のコメント〉
「これは悲劇的な事件で、まったく遺憾だ。捜査機関が捜査中を進めている」
「最終データによれば アナスタシア・バブーロワはマルケーロフが襲われたときに偶然巻き込まれた犠牲者だ」
「このジャーナリストの死とかかわる悲劇的な事件が、政治目的に使われロシアの名誉を傷つけることに利用され始めている。ロシア連邦に報道の自由がなく、ジャーナリストが弾圧されているという、出来合いのコンセプトにあわせて」と外務省では説明した。(イタル・タス通信)
これらは、アナスターシアのブログを停止したあとのコメントだ。そこはもっとひどい書き込みであふれていて、まさに地獄だった。
アレクサンドル・ヤコヴレフ