ロシア:欧州議会がチェチェンにおける人権侵害を非難

1月25日、欧州議会チェチェンで人権侵害を続けるロシアに対する非難決議を採択した。チェチェンの人権活動家イブラギーモフ氏の40日におよぶハンガーストライキは、国際社会がチェチェン戦争を黙認するうちに見失っていた羞恥心を、一部かつ一時的にせよ回復させたように見える。チェチェン問題の平和的解決にあたって試されること、それは一度人権を口にした人々が、どこまでそれを忘れずに―羞恥心を持ち続けて―いられるかということかもしれないと、自戒を込めて、思う。

2006年1月25日、ラジオ・リバティ/Robert Parsons

http://rferl.org/featuresarticle/2006/01/DB6660D3-511A-407B-A489-F3C8E833A6C6.html

本日、欧州評議会議員総会(PACE)は、チェチェンにおける人権侵害状況に関して、ロシアに対する辛辣な非難を行った。議会で採択された決議において、欧州評議会議員総会(PACE)は、ロシア治安部隊によるすさまじい蛮行と数え切れないほどの人権侵害や犯罪が野放しになっていることを非難している。欧州評議会議員総会(PACE)はまた、EU理事会に対して、チェチェンにおける人権侵害状況の監視を再開するよう要請した。

2006年1月25日 ストラスブール

本日、ストラスブールでは、ますます多くの人々によって欧州の人権監視機関の最高峰であると見なされるようになっている機関において、多くの厳しい発言が飛び交った。チェチェン欧州議会議員の属する他のいかなる国家においても見られないほどの深刻な人権問題であると議会は述べている。

欧州評議会議員総会(PACE)によって採択された決議には、ロシアの北コーカサスの共和国における人権侵害がまったく収束する気配を見せず、極度に残酷なやり口―コーカサス地域における治安部隊の行為―がいかなる意味でも法律と秩序の回復に貢献していない旨が明記されている。

広範囲におよぶ報告書

今回の決議に付された、チェチェンにおける人権侵害に関する67ページにおよぶ報告書は、より多くを語ってくれる。報告書によれば、殺人、誘拐、拷問、人質、任意の拘留にはまったく際限がないという。

報告書はそれに続けて、さらにひどいことに、こうした権力の濫用が北コーカサスの他の地域にも波及していること、そして、チェチェン紛争においてそれが疫病のように広がっており、ロシア連邦全土の法の支配を脅かしていることを述べている。

議会の発言者の大半は、チェチェン・ゲリラや、「カディーロフツィー」と呼ばれる、チェチェン第一副首相ラムザン・カディーロフの実質的指揮下にあるチェチェン治安部隊の責任を認めつつも、基本的な責任はロシア政府にあると考えている。

キプロス出身の議員Christos Pourgouridesは、友人としてロシアを批判すると発言し、こう続けた。
「多くの殺人や失踪、拷問、その他の深刻な人権侵害に関する事件があるということ、そして刑事裁判が行われ、中断され、そのまま終わってしまうということなど、とても許すことはできません。ロシア連邦当局、そして特にロシア下院こそが、本来ならこうした状況を許すべきではないのです」

最近の選挙

しかし、それに続くロシアの発言は、モスクワの行為を擁護するものであった。その一人が、ロシア自由民主党ナショナリスト、レオニード・スルツキーである。3年前のチェチェンの状況と今のチェチェンの状況を比べるのは夜と昼を比べるようなものだと彼は言う。チェチェンの首都には大きなビルがいっぱいあるじゃないか!どういうわけで決議でも報告書でも、チェチェンで実施された2005年11月の選挙について取り上げられていないのか、と。

「この問題を取り上げてほしい。あれは、投票し投票される権利というものが欧州でもっとも基本的な権利だという実例そのものだったはずだ」とスルツキーは述べる。
「ではなぜ、決議はチェチェン共和国の構成的権力*1を作り上げたチェチェン議会選挙が実施されたという事実にまったく触れていないのか?過去15年間で初めて、そして2度の戦争後初めて、チェチェン人は自由になり、そのおかげで熱心な競合を経て、議員を選んだのだ。人権という点から言っても、これは巨大な進歩ではないか」

この主張は議会でいくらかの賛成を受け、報告担当者エリック・ユルゲンスもそれを概要の中で認めている。彼は、欧州議会がロシアに対して敵意を持っているとするロシア側の非難を否定し、その一方で、議会はロシアが直面している大いなる挑戦を理解しており、モスクワの戦いを支援したいと発言した。

彼はこう述べる。
今こそチェチェンにおいて人権を監視する役割を放棄せず、欧州理事会欧州議会の執行機関―がより積極的な役割を果たし始める時期である。欧州理事会は、チェチェンにおける監視ミッションが2002年に終了してから何一つ行動を行っていない。今こそ、理事会が監視を再開する時期である、と。

厳しい批判的評価

欧州評議会議員総会(PACE)の決議は、より率直なものであった。決議には「政府や国家のメンバー、欧州理事会の多くが、人権侵害がつねに深刻で集中的かつ大規模に起こっているにもかかわらず、こうした問題に取り組むことに失敗してきた」ことを認めている。

今回の決議は、チェチェンにおける人権侵害状況に関して、近年もっとも批判的な評価を下している。

*1:憲法制定の力