プーチン大統領への公開状

Chechen Peace Forum という英国のNGOプーチン大統領に宛てた公開状を紹介します。

原文: http://comment.independent.co.uk/letters/article2519068.ece

プーチンチェチェンで続いている恐怖と圧制による支配を終わらせなければならない

2007年5月7日

拝啓、プーチン大統領

私たちは、チェチェンにおける人権侵害と戦争犯罪を目の当たりにして、もうこれ以上沈黙していることはできません。私たちは、大統領の任期満了まで今日からちょうどあと一年を残した大統領に対して、チェチェン戦争を終わらせてチェチェンに平和と正義を取り戻すために残りの任期を用いるよう要請するために、この公開状を作成しました。

1999年以降、何十万人ものチェチェン人が家を追われ、10万人以上―そのほとんどは市民―が命を奪われています。ロシア軍およびプーチン大統領によって最近任命されたチェチェン大統領ラムザン・カディーロフの私兵による失踪や拷問、強姦、超法規的な処刑、独立メディアのジャーナリストと人権運動活動家に対する言論封殺が、日常的に行われています。大半のチェチェン市民にとっては、カディーロフが大統領であることは、恐怖と圧制による支配を意味しますが、そこには出口もなければ、市民に対して日常的になされる犯罪に法の正義を求める手立てもないのです。


2006年11月、国連拷問等禁止委員会は、「北コーカサスの違法な収容所に関する信頼に足る報告書およびそうした施設の被収容者が拷問および非人道的または尊厳を侵されるような処遇を受けたという主張」に対して、深刻な懸念を表明しました。2007年3月には、チェチェンを訪問した欧州評議会人権委員会が、チェチェンで拷問と加害者が罰せられない状況が続いていることに遺憾の意を示しました。

2007年1月18日、欧州人権裁判所は、チェチェン側が訴えた拷問事件に関して初めて原告を勝訴させる判決を下しました。原告は、アダム・チターエフとアルビ・チターエフという二人の兄弟で、彼らは2000年にロシア軍によって秘密収容所に拘禁され、拷問を受けたのです。チェチェンの秘密収容所のほとんどは、現在では「カディロフツィ」によって運営されています。市民は、通常、何の容疑もなく、あるいは公式に記録されることなく収容され、「自白」を得るために拷問にさらされます。

2007年1月23日、ロシア最高裁は、そうした権力乱用の実態を報道していた「ロシア・チェチェン友好協会」―ニジニ・ノブゴロドで活動するNGO―の閉鎖に対する異議申し立てを棄却しました。

チェチェンで今も戦争犯罪が続いており、人権活動家や独立メディアのジャーナリストが言論を封殺されていることに関しては、人権団体が否定できない証拠を挙げているにもかかわらず、国際社会はこれまでそうした事実から目を背け、沈黙を保ってきました。チェチェンの惨状に対する世論の関心をより広く喚起し、プーチン大統領に対してチェチェンにおける平和と法の支配を再建するよう呼びかけることも、また私たちの目的です。今日、チェチェンにおいて問われているのは、私たちの人間性そのものなのですから。

敬具

IVAR AMUNDSEN, DIRECTOR, CHECHNYA PEACE FORUM; SIR TOM STOPPARD; LORD GIDDENS; LORD BRAGG; IAN McEWAN; KEN LOACH; PETER TATCHELL; ANDRE GLUCKSMANN; NOEL MALCOLM; ALAIN DE BOTTON; SIR MENZIES CAMPBELL MP, CHARLES KENNEDY MP; SIR MALCOLM RIFKIND MP;