「メモリアル」声明文―チェチェンにおける活動について―

Statement of Memorial - On Our Work in Chechnya
http://www.memo.ru/2007/06/08/0806071.html

2007年5月31日

「メモリアル」声明文―チェチェンにおける活動について―

 2007年5月30日(水)、チェチェン共和国大統領ラムザン・カディーロフは、グデルメス地区の市役所で複数の人権団体の代表と会見を行った。

 会議には約30名が参加し、議題として、地方山岳部の開発や、治安当局者に誘拐された人々の捜索の組織化、グローズヌイにおける無認可の建設の中止といった問題が取り上げられた。

 会議中にラムザン・カディーロフは人権センター「メモリアル」を激しく批判した。「メモリアル」は――カディーロフいわく――根も葉もない噂を広げて、共和国政府の信頼を貶めようとしているだけだというのである。
 とりわけ、カディーロフの糾弾は、アフメッド・カディーロフ基金のために強制的に寄付金が集められているという情報に関するものだった。

 事実、「メモリアル」には、アフメッド・カディーロフ基金の被害者数名から証言が寄せられている。特筆すべきものしては、グローズヌイの消防士が、契約の更新と引き替えに「基金に」莫大な金額を寄付するよう上司から圧力をかけられたという事例がある。この情報は事実であることがすでに確認されている。当時、「メモリアル」は消防士の申し立てをラムザン・カディーロフに転送し、その結果、カディーロフは[事件が]チェチェン共和国の異常事態であるとして副大統領を解任し、その後、演説の中で事件に触れてさえいるのである。

 であれば、なぜ今さら「メモリアル」が批判されなければならないのだろうか?

 「共和国政府の信用を貶め・・・もっぱら否定的な状況説明をしようとすること」という[カディーロフの]主張はいったい何なのか?「メモリアル」がチェチェンにおける良い変化――近年における誘拐事件の急激な減少など――についても言及していることを考えると、この批判は急速に説得力を失ってくる。

 要するに、「メモリアル」こそが、チェチェン共和国の状況を不安定化させようとしているという根も葉もない中傷をされているのである。

 「メモリアル」は設立当初から共和国の住民に対して法的支援を行い、戦争犯罪に関する情報――チェチェンにおける「掃討作戦」、「失踪」、拷問、超法規的収容所、刑事事件のでっちあげなど――を収集・公表してきた。

 こうした情報源によって形成される全体像は、検察庁によって提供される統計によるものと比べて正確さに欠けるものかもしれないが、[状況が]婉曲化されていないという利点がある。法的基盤の上に再建可能なものが平和な市民生活と安定性のみである以上、「メモリアル」の仕事は人権侵害を止め、侵害された権利を回復することである。

 人権センター「メモリアル」は、将来に渡って上記の原則を貫いていくものである。

2007年5月31日


人権センター「メモリアル」
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