消えた軍隊:国連特別報告官、ビルマを訪問

 12日に国連人権特別報告官がビルマ(ミャンマー)入りした状況を伝える"BurmaNet News"の記事を紹介します。以下のような日本の報道からは、あまり伝わってこないビルマの今について。

 2007年11月12日 読売新聞
 国連人権報告官がミャンマー入り、デモ弾圧状況を調査へ
  【バンコク=田原徳容】ミャンマーの人権問題を担当する国連人権理事会のピニェイロ特別報告官が、4年ぶりに入国許可を受け同国入りし、12日、治安部隊に襲撃された僧院などを訪問した。
 ピニェイロ氏は、軍事政権による反政府デモの弾圧状況を調査し、水面下で続く弾圧の即時停止のほか、拘束中のデモ参加者や政治犯の解放を要求する。
 ピニェイロ氏は先月24日、同理事会の報告で、デモ弾圧による死者が最大110人に上ると発表。同氏は11日、最大都市ヤンゴンに到着後、記者団に対し、「有意義な滞在にしたい」と述べ、被害者数を確定させる意気込みを示した。

原文: http://www.burmanet.org/news/2007/11/13/mizzima-news-military-presence-swept-under-carpet-before-un-rights-probe-mungpi/

 国連人権特別報告官パウロ・セルギオ・ピニェイロ氏が到着する前日、ビルマ軍はラングーンから姿を消し、かえってその存在感を増している。ビルマ軍事政権は、旧首都に軍隊が存在しないかのように見せかけることに苦心している−−軍事政権筋が語った。
 日曜日にビルマの新しい無秩序な首都ネイピイタウに到着することになっていたピニェイロ氏は、ビルマに入国し、デモ参加者への弾圧について調査を開始した。ピニェイロ氏は、ラングーンの悪名高いインセイン刑務所と二つの僧院を訪れ、月曜日に数名の政府閣僚と会見した。
 ビルマ当局は、ラングーンの情勢が正常化したように見せかけるため、国連人権専門家が到着する前に、ラングーンから軍隊を撤退させた−−と匿名希望者は語った。
 情報筋によると、国連使節が旧首都を訪れる前に、兵士が20台ものトラックに乗り込み、日曜日の朝、ラングーンを去った。
 情報筋は「[トラックは]ペグーを通ってある場所に向かっており、ネイピイドーか軍事基地に行くと見られる」と補足した。
 情報筋によると、ピニェイロ氏は、政府が9月、デモ参加者に対して暴力を用いたことを証明するために、日曜日にビルマに入った。(退役した)ラ・ソイ少佐や、平和開発会議ラングーン支部長官が、ピニェイロ氏に同行している。
 情報筋によると、ビルマ当局は、ピニェイロ氏をを国賓として迎える新政策を取り、ラングーン支部司令官を含めた軍将校の多くは、ピニェイロの訪問中に限り控えめにふるまっている。
 「すべての軍[将校]は、国連[使節]の訪問中、かれらの目につかないところにいなくてはならない。かれらはピニェイロ氏の訪問中にデモが起こる[かもしれない]ことを懸念している」(情報筋)
 ところが、情報筋によると、ピニェイロ氏は、私服警官と、政権側の市民組織「スワン・アー・シン」、USDA、郡区議長に、厳重に監視されている。 
 一方、ニューヨークの国連代表は、日曜日、ビルマへの特別使節−イブラヒム・ガンバリ氏−が着手する手続きが、同意された期日内に有意義な対話をもたらすことに、期待を表明した。
 ガンバリ氏は−9月のラングーンでのデモ参加者に対する弾圧の後、二度ビルマを訪れたが−火曜日の東南アジアへの最近の訪問を踏まえて、国連安全保障理事会に指示を出す予定である。安保理報告書が報じている。
 安保理は「会見は、ミャンマーシンガポールASEAN議長などの当事者が参加し、その後に内輪の協議会が続く、公開討論になるだろう。」と述べた。
 報告書は「翌週中に国連安保理の議長声明が出ることも成果として期待されている」と続けている。
 ガンバリ氏が最近ビルマを訪問した後−11月3日から8日まで−自宅に軟禁されていたビルマの反体制派指導者アウンサンスーチー氏は、自身の政党・国民民主連盟のメンバーと3年ぶりに再開することができた。
 ノーベル平和賞受賞者でもあるアウンサンスーチー氏は、党の指導者と会い、政府の連絡大臣アウンチーと二度会った後、対話を進展させるために軍事政権と協力することを決めたと語った。