チェチェンニュース Vol.08 No.12 2008.10.10

http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20081010/1223300258 (HTML版)
発行部数:1652部
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INDEX

* アムネスティ : 人権活動家とジャーナリストへの暴力に対する免責に終止符を
* チェチェンプーチン大通り!
* ノーベル平和賞候補にチェチェンの人権活動家?
* ポリトコフスカヤさん暗殺から2年 「真実を知りたい」と姉が訴え
* 赤の広場で 繰り返される悲劇
* アンナ・ポリトコフスカヤ殺害事件の開廷日は10月15日
*「アンナへの手紙」アムネスティ・フィルム・フェスティバルにて上映決定!
* イベント情報

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アムネスティ : 人権活動家とジャーナリストへの暴力に対する免責に終止符を

 アンナ・ポリトコフスカヤに関連して、アムネスティから声明が出されましたので、紹介します。他の人権活動家に対する弾圧の様子も伝えられていますので、ぜひお読みください。

アンナ・ポリトコフスカヤの殺害から2年が経過するが、ロシア連邦、とくに北コーカサス地域において、人権擁護活動家とジャーナリストは依然として危険な状態に置かれている。彼らは誘拐、拷問、自宅への襲撃、死の脅迫などを受ける恐れがあり、また疑わしい状況で殺害されてしまう可能性もある」。

具体的な事例:

【留置所での殺害】

 イングーシの独立系ウェブサイトのオーナーであるマゴメッド・エフロエフ(Magomed Evloev)が2008年8月31日に警察留置場で殺害された疑問の多い事件は、最大限の公正性をもって調査するべきであり、彼が死亡した状況を明らかにし、彼の死に関与した者たちを起訴し、法に基づいて裁くことを確約する必要がある。

【当局による誘拐と暴行】

 2008年7月25日、イングーシの人権団体 MASHR(平和)で活動していた人権擁護活動家ズラブ・ツェチョーエフ(Zurab Tsechoev)は、連邦政府の法執行官と思われる武装した男たちによってトロイツカヤの自宅から連れ去られた。数時間後、ツェチョーエフはイングーシの首都マガス近くの道路脇で発見されたが、重傷を負っており、入院しなければならなかった。アムネスティは、ツェチョーエフへの暴力行為の加害者を明らかにし、裁判にかけるよう要請する。

【人権活動家宅への放火】

 2008年8月1日夜、ロシア中央連邦管区オリョール市の人権擁護活動家ドミトリー・クラジューキン(Dmitrii Kraiukhin)が住むアパートが放火された疑いがある。放火犯らはまた、アパートの入口を塞いだと見られている。幸運にもクラジューキンはアパートにはおらず、在宅中だった家族がただちに消防署に通報した。アムネスティが把握するところでは、損害がそれほど大きくはなく犯罪としての捜査の必要はないと当局が考えているものと見られ、現時点で捜査は行なわれていない。しかし今までのクラジューキンへの脅迫を考える限り、これは彼の活動と無関係の事件ではない。

【同じく脅迫と自宅襲撃】

 2008年8月14日、正体不明の襲撃者たちが、ニズニイ・ノヴゴロドの人権擁護活動家スタニスラフ・ドミトリエフスキー(Stanislav Dmitrievskii)が住むアパートの窓にレンガを投げつけた。幸運にも負傷者はなかった。同じ頃、アパートの入口にはドミトリエフスキーに対する誹謗と脅迫の言葉が一面に書かれていた。この事件に対する捜査は開始された。(【カッコ】はチェチェンニュースによる )

  くわしく読む: http://www.amnesty.or.jp/modules/news/article.php?storyid=528&sel_lang=japanese

チェチェンプーチン大通り!

 チェチェン共和国ラムザン・カディロフ大統領(親ロシア派)が、グローズヌイのメインストリートにプーチンの名前をつけることを提案したが、プーチン首相はあまり歓迎していない。
 ソ連時代の法によると、通りの名前には、生きている人の名を冠してはならないが、新生ロシアでは地方当局が通りの名前の改名を決められる。モスクワなどでは死後10年経過してから命名されており、最近、ソルジェニツインの名前を通りにつけた際には、わざわざ法律を改正した。
 プーチン側の広報担当によれば、プーチン首相側は前向きではなかったが、禁ずることもできないのだという。
 かくてチェチェン・ロシアの善隣友好関係樹立420周年に向けて、カディロフはグローズヌイのメインストリートをプーチン通りとする命令に署名したのだった。 
チェチェン人として、ムスリムとして、プーチン氏のために必要とあらば死も辞さない。彼のおかげで、チェチェンに平和と安寧が満ちる今日のこの日を迎えることができたのだ」と、カディロフ。
 この通りの改修工事に大量の資金と労力が投入され、竣工式典はカディロフ大統領の誕生日に行なわれる予定。通りの長さは1.3キロ。50年代の様式、自然石の一階、上層階も装飾。700本の樹木が植えられる。
 この日曜日に32才を迎えたカディロフの誕生日、グローズヌイ市の日が祝われ、ロシア・チェチェン善隣関係樹立420周年の記念行事が始まっている。(モスコフスキー・コムソモーレツ)

http://www.novayagazeta.ru/news/331410.html

ノーベル平和賞候補にチェチェンの人権活動家?

 今日発表になるノーベル平和賞。本命は中国の人権活動家のようですが、チェチェン人の弁護士もとりざたされています。候補者名は発表されていないので、推測の域を出ませんが、情報の一つとして照会します。

 10日に発表される2008年ノーベル平和賞の有力候補として、中国の市民活動家、胡佳(Hu Jia)氏と高智晟(Gao Zhisheng)氏、そしてチェチェン共和国で人権擁護活動を行う弁護士のリダ・ユスポワ氏の名前が挙げられている。
 …一方、ノーベル平和賞をユスポワ氏に贈り、ロシアに注目を集める可能性もある。ユスポワ氏は、ロシア人権団体「メモリアルのグロズヌイ(Memorial in Grozny)」の元代表で、チェチェン全土で行われた拷問、誘拐、処刑の情報や統計を収集。欧州評議会(Council of Europe)の欧州人権裁判所(European Court of Human Rights)はユスポワ氏の情報を基に、ロシア政府に多数の人権侵害で有罪判決を下した。

http://www.afpbb.com/article/life-culture/life/2526553/3411170

ポリトコフスカヤさん暗殺から2年 「真実を知りたい」と姉が訴え

 ロシアのプーチン前政権を批判していた著名な女性ジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤさん=当時(48)=が射殺された事件から7日でまる2年。姉のエレーナ・クヂモバさん(51)がこのほどロンドンで産経新聞と会見し、「アンナは誰に、何のために殺されたのか。殺害を命じたのは誰か。私は真実を知りたい」と語った。[10/9 産経]

くわしく読む: http://sankei.jp.msn.com/world/europe/081009/erp0810090931001-n1.htm

赤の広場で 繰り返される悲劇

 今年も命日の7日には、モスクワの中心街で彼女を追悼する集会が開かれ、雨にもかかわらず多数の人が集まって死を悼んだ。ようやく裁判が始まる見通しとなったものの、全容解明はほとんど期待できず、軍事法廷での審理のため非公開になる恐れもあるという。
 政治的動機に基づくとみられるこうした事件は、今に始まったことではない。記者がサンクトペテルブルクに留学していた1998年にも、民主派の旗手として注目を集めていた地元選出の女性下院議員が、自宅前で頭部を撃たれて即死する事件があった。闇のなかでうごめく正体の知れない勢力の存在を思うと、とてつもなく暗い気持ちに襲われたことを思いだす。[10/10産経 佐藤貴生記者]

くわしく読む: http://sankei.jp.msn.com/world/europe/081010/erp0810100342000-n1.htm

アンナ・ポリトコフスカヤ殺害事件の開廷日は10月15日

 という報道がありました。英文しか見当たらなかったのですが、こちらをご覧下さい。

  http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20081010/1223610769

「アンナへの手紙」、上映決定!

 来年1月17、18日に開かれる「アムネスティ・フィルム・フェスティバル」で、エリック・バークラウト監督の「アンナへの手紙」が上映されることになった。今年の6月に難民映画祭で上映された作品ですが、1回限りの上映だったので、ぜひこの機会にご覧下さい。まだ詳細な情報がないが、1月17日の15時より上映予定。

 アムネスティ・フィルム・フェスティバル
 http://www.amnesty.or.jp/?aff09 

『2006年10月7日、プーチン大統領54歳の誕生日、ロシア政権を最も厳しく批評していたジャーナリスト、アンナ・ポリトコフスカヤはモスクワの自宅で暗殺される。弱者擁護の彼女はなぜ無念の最期を迎える事に?何千人もの流出を生み出しているチェチェンでの軍事政策を公然と非難したからだろうか?そしてその犯人は処罰を受けるのだろうか?』

原題: Letter To Anna 監督:エリック・バークラウト スイス(2008) 音声:英語・ロシア語 字幕:日本語 83分 ジャンル:ドキュメンタリー p.s. 72 productions

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イベント情報

10/10 早稲田:第4回国際シンポジウム『東南アジアの紛争と平和』

「東南アジアの紛争」とはそもそも何なのか、宗教、民族問題、それとも政治経済的背景のなかでとらえられうるのか。海外ゲストを招き、深く議論します。 http://www.nindja.com/modules/eguide/event.php?eid=15

10/11 駒込:中国四川大地震現地取材報告

5月に発生した四川大地震の現場から、芦澤礼子さんが報告。「災害支援とはどうあるべきか、皆さんと共に考えたいと思います」 http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20081008/1223418334

10/15 NHK総合:神々のうた 大地にふたたび〜アイヌ少女・知里幸恵の闘い〜

明治時代、「人間の本当の豊かさとは何か」を問い、『アイヌ神謡集』完成に命を捧げたアイヌの少女知里幸恵の闘いを描く。 http://www.nhk.or.jp/sonotoki/sonotoki_yotei.html

10/17 高尾:かむい語り2008

秋の高尾で、火のカムイを囲んでのトークライブ。川村兼一さんの語り、床絵美さんのウポポ・唄、港敦子さんのユカラ・語り http://gowest.sakura.ne.jp/archives/2008_9_16_228.html

10/17-10/21 関東各地:秋のアイヌ民族交流ウィーク

今年、衆参院全会一致で、アイヌ民族が先住民と認められた。アイヌをめぐる問題を知り、文化を楽しむ。イベント盛りだくさんの一週間 http://www.alles.or.jp/~tariq/pirika/ainuweek.html

10/18 文京:連続セミナー・<ナクバ60年>を問う【第3回】ヨルダン渓谷問題から日本のODA援助政策を問う

エルサレムの重要性が注目される陰に隠れてきたヨルダン渓谷地帯。ここで日本が進める開発計画「平和と繁栄の回廊構想」のあり方を、現地からの証言をもとに問題化する。 http://midan.exblog.jp/9715118/

10/19 千駄ヶ谷:反貧困世直しイッキ!大集会-垣根を越えてつながろう

米騒動から90年。働いても食べていけない状態が広がっている。失業保険、国民皆保険も瓦解しつつあり、生活保護も機能しない。「私たちは黙っていない」ということを示そう。 http://www.k5.dion.ne.jp/%7Ehinky/ikki2008.html

10/21-26 明大前:JVJA写真展&映像展2008「生命の現場から:序章」

パレスチナイラクビルマなど、「戦場」の取材は、その地に暮らす人々の「生命」との出会いでもあった。「生命」にフォーカスした写真展&映像展。 http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20081001/1222814085

10/25 水道橋:板垣雄三講演会「アメリカの時代」の終り方 ―イスラームを透かして見る世界

世界中で、ポスト「アメリカの時代」に向けた動きがはじまっている。思想文化的な面も視野に、アメリカ後の世界の姿を考えたい。 http://d.hatena.ne.jp/ootomi/20080928/1222605667

11/1 京都:死刑廃止京都集会2008秋

世界の死刑制度廃止の流れに逆行する日本の死刑制。マスメディアは世論が死刑制を支持していると強調する。人を裁くということを考える。高村薫さんの講演、シンポジウムも。 http://korosuna.exblog.jp/

12/1 荻窪:杉並・憲法の夕べ

変転する政治環境、いまこそ憲法問題の本質を。辻井喬さんの講演、市原悦子さんの朗読。 http://www.kateryna-music.com/main/images/flyer07.jpg

12/13 大阪:アフガニスタン・レポート 混迷の大地で

混迷を深めるアフガニスタン情勢。米軍、ISAFの爆撃は続き、タリバンの反撃もあって犠牲者は増加している。現地で取材を続ける白川徹さんの講演。 http://rawaren.blog36.fc2.com/

12/18 蒲田:カテリーナ・グジー クリスマス☆コンサート

ウクライナの歌姫、カテリーナ・グジーさんの民族楽器による演奏と歌。 http://www.kateryna-music.com/main/index.html

1/17,18 新橋:アムネスティ・フィルム・フェスティバル

(「アンナへの手紙」上映あり)今日、映画を観る自由があった。私たちが当たり前に思っていることさえかなわない人々がいる。その人々のことを知ろう。 http://www.amnesty.or.jp?aff09

映画・写真展など

9/6-10/13 本郷台:野町和嘉写真展『地球巡礼』

厳しい自然と向き合いながら生きる人々の文化性と力強さ。グローバリゼーションによって変わりつつある人々の心。30年余に渡って撮りつづけてきたピルグリム http://www.crevis.jp/event/nomachi01.shtml

9/13-10/25 東松山:今日の反核反戦展2008

正義の戦争などどこにもない。誰でもそう直感している。反戦反核を訴えるアーチストたち。 http://www.aya.or.jp/%7Emarukimsn/kikaku/2008/hansen/hansen.htm

11/21-12/7 下北沢:燐光群公演『戦争と市民』

戦争は、まだ終わっていなかったんだね…。防空壕跡に居ついた女性が目覚め、世界を変えようとする。「街」、「市民」の概念を洗いなおす。 http://www.alles.or.jp/%7Erinkogun/sensoutoshimin.html

12人の怒れる男

養父殺しの罪に問われるチェチェン人少年。12人の陪審員は、激論の末真実にたどりつく。 http:/www.12-movie.com

『ビリン・闘いの村』

パレスチナ暫定自治区ヨルダン川西岸のビリン村。若者たちは非暴力の闘いに立ち上がった http:/www.hamsafilms.com/bilin/

おいしいコーヒーの真実

世界第三位のコーヒー消費国日本。あなたがスターバックスで支払ったコーヒー代はどこに行く?コーヒー好きの誰もが見るべき映画です http:/www.uplink.co.jp/oishiicoffee/

『光州5.18』

韓国現代史や民主化運動に関心を持つきっかけに。1980年、韓国で起きた<光州の悲劇>を完全映画化 http:/may18.jp/

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