2001年5月　アメリカ　ポートランドにて

　五月のカナダを巡錫して、はや三週間になろうとしています。いかがお過ごしでしょうか。ロンドンからトロント入りをして旧知の反核医師にしてロシア、チェチェン問題にも精通する知人の道案内で、カナダ中部のエドモントン、西部バンクーバー等を巡りました。エドモントンでは活発な人権平和宗教のグループによってチェチェン問題を共に考える夕べが催され、会場のホールがほとんど満員になる三百名ほどの参加者が集まりました。世界各地から移民した若いムスリムの人たちが中心です。また、ベトナム、チベット、タイ、ラオスの仏法僧と共に五月満月の仏誕祭を新築の大きなベトナム仏教寺院にてつとめました。
　バンクーバーでは全カナダのネイテブ（ファーストネイション）が集まる会議に出席しました。二晩つづけてカナダ唯一の最長老の子息や現カナダファーストネイションのグランドチーフやチーフと共に、聖なるスウェトセレモニーに参加し、チェチェン平和の祈りを共にすることができました。
　もう一つの大きな収穫は百年前、日露戦争時にも戦争に参加することを拒否したロシアの信仰深き農民が迫害、処刑、流刑され、八千名近くがカナダに移民しました。トルストイの小説「復活」は、彼らのカナダ移住を助けるために書かれたものです。「ドゥクベル」と呼ばれるロシアの平和信仰者の共同体に招かれ、五月一三日の母の日に共に平和行進しました。彼らもロシアとチェチェンの平和のために共に行動することを誓いました。
　五月一四日、バンクーバーからシアトルを経、アメリカ西岸のポートランドに数日滞在しています。六年前にアメリカに移住したウクライナのお弟子を訪ねています。ダライラマのポートランド訪問と偶然に重なりました。
　明日、サンフランシスコに出てチェチェン平和使節結成の相談をし、二三日ワシントン、二五日ニューヨーク入りをして、その後再びカナダの東部を十日ばかり巡る予定です。
　その後日本に向かうか、またはヨーロッパ、ウクライナに戻るべきかを決定します。日本にて緊急になすべきことがあればご一報ください。

潤世合掌