インド平和大行進からの手紙


南無妙法蓮華経 合掌

 (船中で出会った「太子」さんという友人への手紙です)

 インドの非暴力抵抗運動の一端を記してあります。チェチェン関係の皆さんにも知って欲しく思います。十一月十四日にはキルギスウクライナの閣僚級の人が参ります。アーラ・ドゥダーエワ女史はキエフでインドビザを申請しました。亡命者のトラベル証書で、正式のパスポートがありません。セルゲイが苦労してます。ストラスブルグのチェチェン人活動家サイード・アミン・イブラギモフ氏は、今起きているインドの大行進の最後の場面だけでも間に合うようと言ってきました。氏に同行するチェチェン青年一、二名のエアチケットをなんとかできればと心配しています。
草々

潤世拝

南無妙法蓮華経 十月十七日 インド国 マトゥラ

合掌 一昨日、マトゥラで初めてのメール、嬉しく拝見しました。ちょうどその頃、どうしておられるか、いつ又お会いできるかなと思っていた矢先で、きっと心が通じたのでしょう。去る二日、北京からインドに渡り、ここ二週間ばかりインドの大地を行脚しています。近来になかったガンディアンの非暴力の大行進で、毎日二万五千人の大群衆が八キロの列にわたる列を作って毎日、歩いています。私たちのお祈りが、その大行進の先頭に立っています。あたかもジンギスカンの大群が移動するような光景で、二十五組に編成された各グループごとに毎日の夜営、食事、水浴、飲水、便所を千人単位で設営しつつ、大移動するのです。大変なロジスティックの組織力で、これほどの規模の大衆行動は世界的にも希な平和運動です。村や町を通るときは村人や学校の子ども達が花輪を以って迎え、花びらを通る行進者にまきちらす姿は、おシャカ様の時代のままです。私たちの仲間は中国、キルギスカザフスタン、ネパールのお弟子さんとインドのお弟子さんなど九名で、毎夜村人の軒下や樹下、学校のベランダなどで野宿しています。毎夜満天の星の下で眠っています。
 この大行進の非暴力運動はインド最下層の農民、山岳少数民族などが全国から結集し中央政府に農地解放、自立可能な土地解放など独立後六十年間放置されてきた土地問題に根本的に取り組むことを要求した人民の側の***(判読できず)ジャナデシュ二〇〇七行動と呼ばれています。二十八日の首都デリーにむかっています。通る行程は道路が完全に人の波で封鎖されてしまいます。インド民衆のサッチャグラハの真髄を見る思いがします。歩く者、迎える者、祈る者、歌う者、踊る者、老人、子ども、行者などが一体となって行くところに現れる不思議な力こそ古来の精神文化による現代のグローバリゼーションと国家主導の力のポリティークの対極に位置する新しい文化変革、意識変革の大運動の根底にある本質ではないでしょうか。
 私達は二十八日デリー到着後、十月一四日予定のデリー仏舎利塔落成式典に、ウクライナ、ロシア、ヨーロッパ、中央アジア、中国等から約七十名の友人、知人を招いています。めったに一同に会すことのない人たちがインド・デリーに集まります。その機会に明年に向け、インド、カシミールパキスタンアフガニスタン、イラン、イラクパレスチナ中央アジア、中東にまたがる現代の最もむずかしい問題をかかえる地域にどのような草の根の民衆覚醒の大衆平和行動が可能かを検討したいと願っています。
 ポスト冷戦期のグローバルな移行変動は市場原理主義とも呼ぶべき流れに、すべての国家をまきこんでいます。他方、チェチェン戦争や、九・一一以後の反テロ世界戦争のように民衆ぬきの国家の武力による紛争の処理が新たな武力テロに世界を巻き込んでいます。この流れは世界軍事戦略の宇宙レベルでの新たな戦略競争を生んでいます。限りある地球の資源をめぐる、国家の生き残りをかけたサバイバル競争です。
 私はこの間、ポストソビエト世界や中東、南アジア、中国世界を広く行脚しつつこうした紛争地の実状を身を以って生きてきました。
 今度インドの非暴力大行進にさんかしたのはこの行動の中にこそ本当の世界の未来の希望を見出したためです。この行進のリーダーの言葉に「沈黙と暴力の中間に積極的非暴力行動が存在する」とあります。今こそ世界規模の積極的非暴力が湧き起こらねばならない時です。
 メールに私の活動についてもっと知りたいとのことでしたので長い説明になりましたが、私の動きの背景を少しでも伝えようと努めました。私のかってな希望ですがせっかくのことならすぐにでもインドに来て欲しいのです。この希な歴史的瞬間を身を以って体験してもらいたいと望みます。
 さらに世界から集まる私の多くの友人達にも会ってもらいたいと思います。
 一二月に入れば少し静かな中で少人数でインド、ネパールを御修行できるでしょう。そのおりゆっくりいろいろな話や体験をすることができるでしょう。
 今、私のまわりではインターネットを使用できる人が少なく、大都市に入るほかはほとんど文明とは無縁の生活ですので、この返信を知人にファックスすることにします。
 インドのビザは大阪のインド領事館で六ヶ月のビザがすぐにとれます。関空から飛ぶ中国経由(北京か上海乗換え)デリーの往復便が十万前後します。予備費として一〜二〇万手前があれば安心でしょう(ほとんど費用はかからないと思いますが)。
 旅のたった一夜の行きづれの縁ではありましたが、お互いに不思議な深いつながりを覚えました。メールのお返事を待っています。それよりまっすぐインドに来られる事の方がもっと期待したいところです。インドの携帯電話があります。急ぎの時は直接お電話ください。 合掌

太子殿
寺沢潤世

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