Kommersant:マスハドフ:私の呼びかけはプーチン大統領に宛てたものだ

コメルサント紙による、アスランマスハドフ氏へのインタビュー 2005.02.07
http://chechennews.org/news/20050207Kommersant.htm

 先週のチェチェンでの戦闘停止のニュースはロシア内外で話題を呼んだ。ロシア政府筋の反応は次のようなものだ。「こんな宣言は、安上がりの宣伝以上のものではない」と。多くの政府関係者は、停戦命令はごまかしと見なしている。そのような状況下、本紙は停戦命令を下した当のアスランマスハドフにコメントを求めることにした。質問と答えは、彼の総代表であるウマル・ハンビエフを通してやりとりした。マスハドフは文書の内容が真正のものであることを保証した。

Q(コメルサント):停戦命令の目的は何ですか?

アスランマスハドフ
まず善意の表明だ。次に平和のための責務を果たし、それをロシア指導部に見せることだ。私に言わせれば、コーカサスは災厄に向かっている。この状況での私の義務は、わが国民だけでなく、すべてのロシアとコーカサスの人々に対する、現実の脅威を防ぐためにあらゆる努力をすることだ。思うに、ウラジーミル・プーチン大統領は、ロシアとコーカサス全体が引きずり込まれようとしている災厄の深甚さについての、正しい情報を手にしていない。ロシアとイチケリア(チェチェン)の大統領は、政治的意思を行使して、この流血に終止符を打たなければならないと信じている。だから、私の呼びかけは、本質的にロシア大統領に向けられたものだ。そしてもちろん、破局を望まないすべての人々に向けたものだ。


Q:あなたの親族の何人かが連邦の保安当局や政府機関に逮捕されたと言われていますが、この停戦と関係はありますか?

マスハドフ:いや。5年間にわたって、チェチェンの大勢の住民たちが誘拐され、殺戮されている。家族たちは、国民全体への義務より、自分たちが、優先されるとは期待していないだろう。

Q:停戦について、ヨーロッパの政治家たちと話し合ったことはありますか?

マスハドフ:いくつかの人権団体や政治家から提案を受けてはいたが、私は断っていた。チェチェンには、停戦を見届けることのできる独立した組織が存在しないからだ。われわれにとっての不利はそのままだが、そのステップを踏むことにした。繰り返すが、目的はわれわれの強さを示すことではなく、善意を表現することで、相手に対する交渉の呼びかけでもある。

Q:ロシア政府から、どんな種類の反応があるのを期待していますか?

マスハドフ:妥当な反応を期待するだけだ。そのために、あらゆる攻撃的行動を禁止する命令の次に、ロシア政府の接触を受けるべき代表を選んだ。その長は私の総代表であるウマル・ハンビエフ/イチケリア保健相だ

Q:停戦の後に何が起こるんでしょうか?

マスハドフクレムリンの人びとのセンスがよければ、われわれは交渉のテーブルで戦争を終わらせることができるだろう。でなければ流血はまた長い間続くだろうが、われわれはその最悪の事態に道義的責任を負えない。

Q:あなたが命令を出した直後に、野戦司令官のシャミーリ・バサーエフが殺されたという噂が広まりましたが。それについてコメントはありますか?

マスハドフ:シャミーリの死が報道されたのは、この6年間に5〜6回はあったと思うぞ。

Q:モスクワ劇場占拠事件のあと、バサーエフはあなたの命令は受けないと宣言しました。今はまたあなたの指揮下に戻ったんですか?

マスハドフ:あの時以来、シャミール・バサーエフはイチケリア軍に所属していない。誰もが承知していることだが、私と彼には溝がある − 本質的に、彼の選んだ戦い方はチェチェン側にとっても認められないものだ。そもそも、バサーエフは私が認めないような直接的手段をも行使する権利があると考えているようだ。ベスラン事件のあと、私は、戦争が終わったら、人道に対する罪を犯した者を−ベスラン事件とモスクワ劇場事件の責任者と見られているバサーエフも含めて、国際法廷に差し出すと宣言した。それまでの間、私は彼もふくめ、司令官の誰もが、ロシア市民をターゲットにしないように抑えてきた。もしバサーエフが停戦命令に従うとしたら、われわれにとっても許せない多くのテロを防ぐことができたのだと、考えることにしよう。

Q:先週後半に、停戦のニュースの直後、(ロシアの)司法当局があなたの新しい容疑を公表しました − あなたがベスラン事件に関与していたというものです。なにかコメントは?

マスハドフ:私は別に「決して間違いを犯さない」検事総長の非難とか、そういうものに心を乱されたりはしない。あの最悪の事件に立ち戻ってみると、よくこういう自問をしている。9月の2日から3日にかけて、ロシア政府の答えも待たず、私が独自にベスランに行ったとしたら − 子どもたちを、非人間的な野望のために殺めた、あの冷酷な連中を止めることができたのだろうか?

今も、その答えはみつからない。

<了>