アブハジア紛争問題、ソチオリンピックに影響か? EUの外交活動活発化

ootomi2008-06-09


 ロシアに対するEUの圧力が強まる中、EU弁務官は、最近のグルジア内部の独立志向地域であるアブハジアでのロシア政府の行動が、2014年のソチオリンピックを脅かすものになるとの見方を明らかにした。
 EUのベニータ・フェレロ・ワルドナー対外弁務官は、ロシア下院議員団に対し、「EUは、最近のグルジアにおけるロシア政府の動き、特にロシアの南部国境の安定に影響を与えかねない動きを憂慮し、ソチオリンピックの取り組みの見直しを視野に入れている」と語り、「この地域の不安定化は、すべての勢力にとって不利益だ」とした。
 今回の強い警告は、グルジア政府筋が現在の未解決の紛争が、冬季オリンピックに影響すると声明したことに関連して出されている。1993年にもグルジアからの独立を求めて武力紛争の起こったアブハジアの国境からは、ソチまでわずか数キロの距離しかない。
 同弁務官は、EUグルジアの領土保全に最大の注意を払いつつ、ロシアとの信頼構築を通してこの問題に関与していくとの考えも示し、ブリュッセルへの帰路に先立つブリーフィングの際には、「グルジア、ロシア双方の意見を聞くこと、また、グルジアアブハジアが真の対話を持つことが重要だ」と述べた。
 グルジアアブハジアの公式筋は、グルジア偵察機が撃墜されるなど、最近の一連の事件によって、戦争の危機が高まっていると警告している。国連の調査では、このグルジア機の撃墜は、ロシア軍戦闘機によるものという結果が出ている。
 最近の危機は、アメリカとヨーロッパでの外交活動を活発にしている。EUのハビエル・ソラナ上級外交代表は近々トビリシアブハジアのスフミを訪問する予定だ。
 フェレロ・ワルドナー弁務官は、ロシアのラブロフ外相とも会談し、ロシアとEUの新しい協力関係についても話し合い、これについての交渉は6月末のEU−ロシアサミットの後で再開される見込み。

The Moscow Times EU Links Abkhazia To Sochi Olympics.
05 June 2008 By Nikolaus von Twickel
http://www.moscowtimes.ru/article/1010/42/368019.htm