蓮舫さんの戸籍

 民進党蓮舫党首に対して、一部の議員が、「二重国籍問題の解決」のために、執拗に彼女の戸籍の公開を求めている。蓮舫さんの側では、7月18日にも公開するという。

 公開を求める議員のツイッター

 都議会選で議席を大幅に減らした民進党が、蓮舫さんの戸籍を公表すれば党の勢いを回復できる、みたいに考えているところがもう終わっている、という問題はさておき、蓮舫さんが国会議員に立候補した時点で選管が確認して、二重国籍ではないことは確認されているので、うやむやもなにもない。問題はすでに解決している。


 そういう確認がすでにされているのに、個人情報のかたまりである戸籍を公開しろというのは、プライバシーの侵害もはなはだしいと思う。

 戸籍には、本籍地、家族構成、婚外子であるかないかなど、ものすごく重大な情報が書き込まれているのだ。これまで、そのひとつひとつが差別の材料になってきた。

 それなのに 公衆の面前に示せ という人々の真意はどんなところにあるのか。直接それを知るような情報はないけれども、もし戸籍の公開が、日本で何らかの政治的効果があるのだとしたら、それはこんな暗黙の前提があるということだと思う。

二重国籍者は、日本の政治に参加してはならない」

 だから、二重国籍の疑惑を解かなければならないのだ、と続く。

 日本の法律は二重国籍を排除しようとするけれども、私は、もし誰かが二重国籍を持っていたって、そのことが悪いとは全然思わない。人が二重国籍になる事情はいろいろだから。両親の出身が別々の国だったり、難民として来た国で生まれた子どもだったり。

 そういう場合には、子どもは(配偶者もだけれど)どちらの国でも自国民として暮らせるようになっていないと、本人も行政当局も負担が大きい。二重国籍を認めるのは世界のすう勢だ。

 日本はそれに逆らって、単一国籍を求めているから、海外に住む日本人がその国の国籍を求めるのをためらってしまう。そこで失われるのは、実際に住んでいる土地での政治参加の権利だ。

 私たち日本人の大多数は、そんな権利は不要だと考えているのだろうか?

 二重国籍であったって三重国籍であったって、生活をしている人間だ。住んでいる土地で自治体や国会に送り出す代表を選び出して、その代表を通じて生活を向上させたいと思っているし、民主主義に参加したくない人などまずいないはずだ。

 戸籍を開示しろと迫ることは、それ自体マイノリティに対する人権侵害だ。蓮舫さんとは別の問題だけれど、二重国籍者に政治参加の権利が与えられないなら、それも人権侵害だと思う。

 戸籍っていったい何なんだろう。また続きを考えたい。