ロシアで国際NGOの80%が活動停止に!

ひどいニュースです。NGO規制法によって、ロシアで活動している国際NGOの80%が活動停止処分を受けることになりました。ロシアでは、今年の4月に発効したNGO規制法によって、国内で活動するすべてのNGOに対して政府当局への再登録が義務づけられました。ところが、というか、例のごとく、再登録の条件が非常に厳しいため、当局が設定した10月18日の期限までに再登録が認められたNGOは、たった95団体。400近くの国際NGOが、「事務所に入って電気代を払う以外は何もできない」状態になっています。今回活動停止を食らったNGOは、ヒューマン・ライツ・ウォッチアムネスティ・インターナショナルデンマーク難民評議会など。これって、チェチェンの人権状況を監視するNGOばっかりじゃないですか・・・?


NGO規制法は、2006年4月17日に発効したロシアの国内法で、ロシア国内で活動するすべてのNGOに対して政府当局への再登録(具体的には以下の三項目)を義務づけています。

(1) 全事務所の所在地の登録
(2) 海外からの資金援助/資金用途についての詳細な報告
(3) 活動実績および今後の活動予定についての詳細な報告

一方で、当局は「政治的活動」に関わるNGOを閉鎖する権限を持つとされているのですが、この「政治的活動」が何を意味するのかということについては、NGO規制法に明確な定義はありません。NGOの再登録には、設立者(団体によってはすでに故人)のパスポートナンバーといった、なぜそれが必要なのかということさえよくわからないような書類を、それこそ山のように提出しなければならないわけですが、当局がNGOからの登録申請を受け付けていたのは、なぜか毎週水曜日だけでした。

どう考えても、政府にとって都合の悪いNGOを消すための法律なのですが、さらに露骨なことに、当局はNGOに対して再登録を要請する通知をまったく送ってこなかったそうです。「登録申請書には必要な書類は七つしかないと書かれていましたが、弁護士に相談すると、他にも必要な書類がたくさんあることがわかりました」(グルナラ/メドゥサン・デュ・モンド*1 モスクワ・スタッフ)。当局は、煩雑な登録手続きに苦情を寄せるNGOに対して、「気が進まないなら書類を出さずに活動をやめればよい」とまで豪語しています。

今回再登録を認められた数少ないNGOのひとつに、ワシントンに本部を置くヘリテージ財団*2がありますが、なんと「提出した書類は200ページにも及んだ」そうです・・・。ロシア政府がNGOに対する再登録期限を10月18日に設定したのは、わずか2ヶ月前の8月18日でした。財政やスタッフが慢性的に不足している多くのNGOは、当局の要求する書類さえ揃えられないまま、活動停止処分を受ける日を迎えることになりました。(邦枝律)

http://rferl.org/featuresarticle/2006/10/d51898dd-8fb8-464d-9535-78150bad455c.html
http://eng.kavkaz.memo.ru/newstext/engnews/id/1087680.html
http://www.reliefweb.int/rw/RWB.NSF/db900SID/KHII-6UR8UW?OpenDocument&rc=4&emid=ACOS-635PN7
http://rferl.org/featuresarticle/2006/08/d67b3511-28e5-45e7-813b-0f0829a0418e.html

*1:フランスに本部を置く人道医療支援NGO

*2:1973年に設立された保守系シンクタンク