「西側には失望した」マスハドフの息子アンゾールが語る

(6/25 Anneli Ahonen / Helsingin Sanomat) 「戦争の被害者について語りたいと思います。戦争に遭遇し、家を棄てなければならない、ごく普通の人々の運命が、他の何より過酷なのですから」−アンゾール・マスハドフは6月にヘルシンキのスオメンリナで開かれた、「ロシアにおける民主と人権」という市民フォーラムで語った。

 アンゾ−ルは、2005年に、トルストイ・ユルト村でロシア治安部隊に殺害されたチェチェンの元大統領アスランマスハドフの息子だ。
 彼の身辺は警護されている。私服を身につけた「友人」がそばにいて、インタビューの間もじっと見守っている。「私は父のような話し方をしますから、人々がやってきて<政治家になるべきだ>と言うんです。そうしたいとは思いませんが、運命はわかりません」

 チェチェン独立問題についての質問には、こう答えた。「父はロシアに対して和平を訴えたために殺され、チェチェンからは人口の半数が去ってしまいました。国を去った人々は、状況が良くなるのを待っています。ロシア政府の手先のカディロフツィが人々を処刑するような、そんな国ではなくなることを」

 アンゾール自身もチェチェンから去った一人だ。家族はノルウェーに住んでおり、そこで難民認定を受けている。

チェチェン戦争は30万人の人々から家を奪い、10万人以上の人々の命を奪った。復興が始まってから、人々は家に戻り始めた。しかし数万人の人々がチェチェン・イングーシ・ダゲスタンで難民となっている。チェチェンの難民はさらにグルジアアゼルバイジャン、ヨーロッパ諸国、アメリカ合州国にもいる。フィンランドは今年に入ってから30人のチェチェン人に難民認定を与えた。アンゾールは、難民認定申請者への支援を訴えている。

 「ロシアは<チェチェンにはもう問題は何もない>と宣言しています。当局は外国からの訪問者を、修復のできた通りに案内します。彼らはそれぞれの国に帰ってから、チェチェンが平和になったと想像して、もう大丈夫だとみんなに話すのです。・・・西側にはずっと期待してきました−いつかは口を開いて、<ロシアはこの虐殺を止めるべきだ>と言うのを。私たちは、もうそんなことは期待していません」

http://www.hs.fi/digilehti/